脳オルガノイドにビタミンAを追加すると目がはえてきた
脳オルガノイドに目を作らせるためには、ビタミンA(酢酸レチノイン)が必要でした。
培養開始から20日齢の脳オルガノイドに低濃度になるようにビタミンAを加えると、即座に目の形成に不可欠な色素の沈着がはじまりました。
そして40日後の60日齢になると、色素が沈着していた場所に、多様な視細胞を含む網膜・水晶体(レンズ)・角膜といった目を構成する組織が現れはじめたのです。
また網膜からは視神経が伸びて視交叉を形成したり、一部は脳オルガノイドの内部領域と接続していることが判明します。
さらに研究者たちが新たに形成された眼球に光をあてたところ、視細胞から神経パルスが発せられ、受け取った脳オルガノイドで活発な電位変化が観察されました。
この結果は、目が光を感知して、脳細胞にて情報処理が行われていることを示します。
同様の目と視神経の形成は、子宮内部にいる人間の胎児でも50~60日齢で起こることが知られています。
研究を統括したジェイ・ゴパラクリシュナン教授は結果の分析を経て「ある意味で、脳オルガノイドは光を見ている」と述べました。