双子の球状星団の異なる白色矮星
今回の研究は、大規模な星のクラスターである2つの球状星団で冷却される白色矮星を比べてみるという観測を行いました。
観測対象とされたのは、「M3」と「M13」という2つの球状星団です。
これは年齢や金属量などの値が近い双子のような特性をもっていますが、最終的に白色矮星を生み出す星の数には違いがありました。
M13では青く輝くより熱い星の集団が多いことが示されていて、これによって両者を比較すると、さまざまな星の集団における白色矮星の冷却プロセスを知ることができるのです。
観測では、M3が単に恒星の核を冷却している標準的な白色矮星を含んでいることがわかりました。
ところが一方のM13には、白色矮星の2つの集団が含まれていました。
標準的な白色矮星と、水素の外層を保持していて、冷却が予想より非常に遅い白色矮星です。
こうした違いがどこから生まれるのか、研究者たちはコンピュータシミュレーションによって比較を行いました。
すると、M13の白色矮星の約70%が表面で水素の核融合を起こしており、それによって冷却速度が予想より遅くなっているという結果が示されたのです。
白色矮星は、これまでただゆっくりと冷えていくだけで活動はない死んだ星だと考えられていました。
しかし、表面でまだ核融合を起こし、そのために冷却速度に変化が起きるとなると、これまでのような単純な冷却プロセスによる年齢測定は通用しない可能性が出てきます。
これは今後の星の年齢測定にも影響を与える可能性のある発見です。
研究者は今回の発見によって、水素を外層で核融合させる白色矮星は、年齢の推定値に10億年近くズレを生んでしまう可能性があると話しています。
興味深い事実とはいえ、天文学者にはちょっと困った新しい発見かもしれません。
けれど、死んだと思っていた星が活動しているという話は、少し明るい話題にも感じますね。