カエルの泡は薬剤を1週間かけてゆっくり放出できる
さまざまなテストの結果、カエルの泡が医薬品に用いられる合成泡と同じ特性をもつだけでなく、欠点らしいものも見つかりませんでした。
さらに重要な点として、カエルの泡には高密度の気泡が含まれており、薬剤を運ぶのに十分な頑丈さを備えていました。
実験では、一般的な抗生物質であるリファマイシンを泡の中に注入。
そしてこの抗生物質が1週間かけてゆっくりと放出されたことが確認されました。
患者には通常5~14日間の抗生物質治療が必要なので、この長い放出期間は非常に有用だと言えます。
しかも、ペトリ皿のヒト皮膚細胞を使ったテストでは、安全性も確認されました。
チームによると、「他の多くの合成媒体とは異なり、アレルギーの心配もない」とのこと。
カエルの泡は薬物投与のための非常に優れた媒体だと言えるでしょう。
とはいえ製品化するには、交尾中のカエルをたくさん捕まえてこなければいけません。
そこでチームは、もっと効率的にカエルの泡を量産するため、人工的にカエルの泡を作ることにしました。
研究の結果、細菌の遺伝子を操作して、カエルの泡に必要な6つのタンパク質を含ませた「人工のカエル泡」を作り出すことに成功。
実験室生まれの人工泡は、本物と同様に1~2週間安定していました。
薬剤投与に利用できるなら、従来の合成泡をはるかに超えた性能が期待できるでしょう。
今後チームは生きた豚やマウスを使って、人工のカエル泡を利用した薬剤投与実験を行う予定です。