不安な男性のワキアセは女性被験者の経済活動に変化を起こした
不安な状態に置かれた男性のワキアセは、被験者たちにどのような変化を起こすのか?
研究者たちはワキアセを含むさまざまな香りを214人の被験者に嗅がせながら「信頼ゲーム」と「リスクゲーム」を続けてもらいました。
すると、主に女性の被験者(投資家)において顕著な変化がみられました。
不安な男性から採取されたワキアセの匂いを嗅いだ女性の被験者(投資家)たちは、どちらのゲームでも、1回の投資額を有意に減らしはじめたのです。
信頼ゲームにおける投資額の減少は、他人に対する信頼度が揺らいでいることを示し、リスクゲームにおける掛け金の減少は、リスクに対する積極性が減少したことを示します。
これらの変化は、不安に陥った人間にみられる一般的な反応と一致します。
また興味深いことに、ワキアセの濃度を薄めて、人間には知覚できないレベル(無臭)にした場合でも、女性被験者の投資額を減少させる効果は維持されました。
この結果は、汗に含まれる何らかの化学物質(揮発性で無臭)が、ヒトからヒトへ不安を伝染させ、本人が気付かない無意識のうちに社会的行動を変化させていたことを示します。
一方で、男性の被験者の場合、ワキアセの匂いは特に変化を与えませんでした。
そのため研究者たちは、化学物質による不安の伝染は、女性に優先的(限定的)な反応であると結論しました。