大規模調査で月の影響を解き明かす
月が生物に与える影響は、古くから科学者たちの関心を引いてきました。
たとえば、月周期は動物の生殖や捕食回避などの本能的な行動に影響を与えることも、さまざまな研究で示されています。
また近年においても、月の起潮力(引力の強まり)に合わせて照明レベルを落として「夜」にすることで、レタスの収穫量が24%増えることが、名古屋大学とトヨタ紡績の共同研究により示されています。
一方で、人間に対する影響については肯定派と否定派の間で論争が続いていました。
否定派は月が人間に何らかの影響を及ぼすとの説を「疑似科学(ニセ科学)」だとする一方で、肯定派も否定派を納得させられるような規模の大きな実験は行っていなかったからです。
そこで今回、スウェーデンのウプサラ大学の研究者たちは、史上最大レベルの大規模調査を行うことにしました。
研究者たちは852人の被験者に、脳波・心電図・筋電図・呼吸量・呼吸圧・酸素濃度・いびき音・体位方向を同時に記録できる複合的なセンサーを装着してもらい、睡眠時の詳細な情報を取得。
そして月周期との関連性を調べました。
すると驚くべきことに、月周期によって睡眠時間に明らかな差が現れたのです。