まるで瞳のようなこの画像は、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したりゅうこつ座AG星
まるで瞳のようなこの画像は、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したりゅうこつ座AG星 / Credit:ESA/Hubble and NASA, A. Nota, C. Britt
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虚空に浮かぶ瞳のような「天の川銀河でもっとも明るい星」 (2/2)

2021.09.23 Thursday

前ページ2面性を持つ星「りゅうこつ座AG星」

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爆発と静止を繰り返す二重人格の星

「りゅうこつ座AG」は、自身が崩壊しそうなほどエネルギーを溜め込んだ際に、激しい爆発を起こして溜め込んだものを放出します

そして、物質を放出して落ち着くと、また徐々に収縮していきます。

この爆発の大きさには変動があり、特に巨大な爆発が起きた場合、放出された物質が星の周囲に星雲を作り出します。

このような巨大な爆発は、LBVという星の寿命の中で、数回発生すると考えられています。

現在のAG星は半静止状態で、比較的穏やかにしていますが、それでも強力な恒星風(荷電粒子の流れ)を放出するような爆発は繰り返しています。

これが古代の巨大な爆発で作り出された星雲を外側へ押し出すように動かしています。

虹彩のように見えている星雲は約1万年前に形成されたと考えられていて、これが恒星風に押し出されて現在見られる星の周りの空洞を作り出しています。

これまでの観測画像を合わせた「りゅうこつ座AG星」の画像。赤はイオン化したガス。青は塵の残骸を示している。
これまでの観測画像を合わせた「りゅうこつ座AG星」の画像。赤はイオン化したガス。青は塵の残骸を示している。 / Credit:ESA/Hubble and NASA, A. Nota, C. Britt

この画像では、赤と青に色分けされた瞳の虹彩のような領域が特徴的ですが、これが星雲と恒星風を示しています

画像の赤色が主に星から放出されたイオン化された水素と窒素であり、これが恒星風です。

そして青色に光っているのが、星に照らされた塵の塊です。

そのため、よく見るとおたまじゃくしのような形で、星の方向から来る放射を遮っているようのが分かると思います。

画像の左上では、赤い煙のようなものが外側に吹き出しているように見えます。

これは恒星風が、星雲の構成物が薄い領域を通り抜けて拡散した場所を示しています。

恒星風は毎秒200kmの速度で吹いていて、その外側の星雲にぶつかってこのガスと塵の雲を毎秒70kmで押し広げています。

形成された星雲は現在、約5光年の幅があり、これは地球にもっとも近い星といわれるケンタウルス座アルファ星までの距離と同じです。

あまりにダイナミックで、なんだかわけがわからなくなってきますね。

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