ラトルバックの回転が逆転する原理の超簡単な説明
ラトルバックが逆回転する最も大きな要因は、構造の非対称性があげられます。
一見すると左右対称のカヌー型にみえるラトルバックですが、多くの場合、底面の構造や重さの分布がカヌーの長軸に対して非対称になっています。
その結果、ラトルバックには回転しやすい方向(好きな方向)と、しにくい方向(嫌いな方向)が存在するようになります。(※上の動画のラトルバックの場合、反時計回りのほうが回転しやすい好きな方向です)
また構造や重さが非対称であるため、ラトルバックの運動は純粋な回転運動に加えて「縦揺れ」と「横揺れ」というグラつきがともなうようになっています。
初期に与えられた回転方向が、ラトルバックが好きな方向であった場合、このグラつきは回転方向に変化を与えません。
しかし初期回転がラトルバックが嫌いな方向(上の動画の場合は時計回り)であった場合、ラトルバックの姿勢が不安定になせいで、回転エネルギーが早期にグラつきの振動エネルギーへと変化してしまい、回転は急激にとまってしまいます。
問題はここからです。
通常の底が鋭いピンになっているコマの場合、回転がとまったタイミングと運動エネルギーが0になったタイミングは同じです。
初めが右回りであろうが左回りであろうが、運動エネルギーが尽きてしまえば、逆転も決して起こりません。
しかし底がツルツルで回転方向に好みがあるラトルバックが嫌いな方向に回されていた場合、回転がとまった段階では全体の運動エネルギーが失われておらず、縦揺れと横揺れからなるグラつきを残余のエネルギーで続けています。
そしてグラつきによる残余エネルギーが十分に高い場合、ラトルバックの回転運動に再点火が行われ、新たな方向(ラトルバックの好みの方向)に逆回転がはじまるのです。
以上が、ラトルバックが逆回転する原理の基礎になります。
通常のコマ(底がピン)が逆回転するには運動エネルギーを0にした後に再度外部から逆向きのエネルギーを加える必要があります。
しかし嫌いな方向に回されているラトルバックの場合、回転数が0になっても運動エネルギーがグラつきとして残っており、振動エネルギーが回転エネルギーへと方向付けされることで回転が再開します(ラトルバックが好きな方向へ)。