ムーアの法則によれば「宇宙」のインストールは500年で可能になる
今回の研究により、少なくとも見える範囲の宇宙のに必要なビット数が判明しました。
私たちの宇宙は無数の粒子1つ1つを区別しつつ、それらを同時に動かし続ける物理エンジンで構成されているのかもしれません。
現在の人類にはとても到達できない領域ですが、永遠に達成不能かと言われるとそうでもありません。
コンピューターの急速な発展によりコンピューターの性能(集積密度)は1年半から2年ごとに2倍になるというムーアの法則が知られています。
ムーアの法則と連動して記憶容量も増えていけば、コンピューターの記憶容量も500年後には6.036×10の71乗ギガビットに到達すると予想されるからです。
(※ムーアの法則には最近になって再び限界もみえはじめている)
さらに600年後、700年後となれば、6.036×10の71乗ギガビットの情報を同時に処理できレベルまで到達するでしょう。
宇宙のシミュレートが可能な技術レベルに到達するのは、思ったよりも近いのかもしれません。
なお、今回の研究は非常にチャレンジングな試みであったものの、それゆえに問題も多く含んでいます。
例えば、算出に用いた粒子は陽子や中性子といった観測可能なバリオン粒子に限られており、暗黒物質は含まれていません。
研究者によれば、暗黒物質などの情報を含めた場合には、さらに10兆倍クラスの追加が必要であり、最終的には10の93乗ビットの情報量に及ぶ可能性があるとのこと。
加えて、研究で用いられた算出法はあくまで最大限に圧縮された(必要最低限度)の情報量を導き出すものです。
つまり研究によって得られた「宇宙」は「zip」状態にあり、インストールして稼働させるには、より大きな容量が必要になります。
研究者は今後も宇宙の総情報量の推測を続け、より正確な数値を目指していくと述べています。
700年後の未来では、人々のPCに1つずつ別の宇宙がシミュレートされているのかもしれません。