画像
時速110kmで走行中の車両にピタッと着陸できるドローン技術を開発 / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
technology

【なぜ跳ね返らない?】時速110kmで走る車両に着陸できるドローンが登場

2025.10.09 22:00:34 Thursday

映画のワンシーンのように、高速で走る車の上に飛び乗ることがどれだけ危険で難しいことか、よくご存じでしょう。

それは人間だけでなく、最新のドローンであっても同じことです。

たとえ自律飛行ができる高性能な機体でも、時速100kmを超える車の屋根に安全に「ピタッ」と着陸するのは、現実には極めて難しい技術なのです。

カナダのシャーブルック大学(University of Sherbrooke)の研究チームは、走行中の車両にドローンが確実に着陸できる新しい方法を開発しました。

この成果は2025年9月24日付の『Journal of Field Robotics』誌に掲載されました。

Comin’ in hot – dauntless drone can make 110-km/h landings on trucks https://newatlas.com/drones/dart-drone-landing-truck/
Friction Shock Absorbers and Reverse Thrust for Fast Multirotor Landing on High-Speed Vehicles https://doi.org/10.1002/rob.70069

「走る車への着陸」はなぜ難しい?跳ね返りとスリップをどう越えるか

ドローンは今や農業、物流、災害対応など幅広い現場で使われていますが、実は「着陸」での失敗が少なくありません。

「走行中の車両」へ降りる場合、その難しさはさらに跳ね上がります。

車が高速で走っていると、ドローンには強烈な風圧がかかります。

この風に対抗するため、機体は大きく前傾して飛ぶことになり、そのままの姿勢で降りようとすると、プロペラが屋根に接触してしまったり、着地時の安定性が大きく損なわれたりします。

また従来のドローンの脚は、固い素材でできていて、内部に十分な衝撃吸収構造がありませんでした。

そのため、車の速度があるラインを超えると、着地の瞬間に跳ね返ったり、脚が壊れたり、滑り落ちたりする事故が頻発します。

これまでの研究でも、車両が50km/hを超えると、着陸の成功率が著しく低下することが分かっています。

この課題を乗り越えるためには、衝撃吸収と滑り防止の両方を同時に実現し、高速でも安定して降りられる制御技術が必要でした。

そこで今回の研究では、三つの新技術が導入されました。

1つ目の「ショックアブソーバー」は、脚の内部に摩擦ディスクを組み込んだ特殊な構造です。

着地の瞬間にこのディスク同士が回転して摩擦を生み、着地時の衝撃エネルギーを一気に吸収することができます。

2つ目の技術は、プロペラの回転方向を一時的に逆転させ、着地直後にドローンを下向きに押し付ける力を生み出すというもの。

この働きによって、滑り落ちやすい高速走行中の車両の屋根でも、ドローンはしっかりとその場にとどまることができるのです。

さらに3つ目のとして、上空から車両を追尾し、高速で垂直に降下したのち、着地直前で機体を水平に戻す制御技術も実装されました。

この制御によって、プロペラが屋根に接触するリスクを回避しつつ、4本の脚で衝撃を均等に受け止めることが可能になります。

では、三つの技術を組み合わせた結果、どんな成果が得られたでしょうか。

次項には、実験の様子を記録した動画もあります。

次ページ時速110kmで走る車両にピタッと着陸することに成功

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

テクノロジーのニュースtechnology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!