脳に電極を刺し「うつ病スイッチ」を刺激する治療法が第二相に進出!
無数のニューロンによって構成される脳は、巨大な電気回路です。
この巨大な電気回路は、理性や知性、感情をうみだし、私たちの意識や自我の根源となっていまが、時に回路は不全を起こし、うつ病などの症状となって現れます。
これまで、うつ病の治療は主に薬物を用いて、ニューロン同士の接合部分(シナプス)を改善する方法が用いられてきました。
ですが残念なことに、うつ病患者の30%ほどは、既存の薬物では治療効果を得ることができません。
そこで近年になって、うつ病の発生源となる回路に電極を刺し込んで、電流を流す治療(脳深部刺激療法)が行われるようになってきました。
脳深部刺激療法は高周波の電気パルスを発することで脳細胞の活動を抑制することが可能であり、いくつかの例において、難治性の重度のうつ病に対して画期的な改善効果をもたらしています。
そこで今回、エモリ―大学の研究者たちは脳の深部にある梁下野(SCC)をターゲットにした脳深部刺激療法を行うことにしました。
梁下野(SCC)は、うつ病と深くかかわっていることが示されている脳領域です。
研究者たちは、被験者ごとに脳の詳細な3Dイメージを作成し、4本の電極を梁下野(SCC)の最適な場所に刺し込み、1時間の電気刺激(周波数130Hz電流6mA)をするとともに脳の反応を記録しました。
結果、1週間が経過した時点で被験者の45.6%において、うつ病の症状が改善したと判明。
既存の薬物を用いたうつ病治療は通常、治療効果が表れるまで数か月を要することが多いですが、研究ではわずか1時間の刺激で効果があることが示されました。
そのため研究者たちは梁下野(SCC)はある種の「うつ病スイッチ」のような存在であると述べています(OFFにするとうつも消えるから)。
しかしより興味深い結果は、電気刺激中の脳の反応にありました。