電気刺激はβ波を抑えてネガディブな思考回路を遮断した
電気刺激によって脳はどんな反応を起こしたのか?
研究者たちが電気刺激を受けている脳が示した反応を分析したところ、電気刺激を与えた部位で、数分のうちに、脳のβ波が弱くなっていたことが判明します。
また1週間後の精神状態も、β波が弱くなっていた人ほど、うつ病が良くなっていたことが示されました。
β波は通常、特定の行動を続けるか停止するかを脳が判断するときに発せられることが知られています。
そのため研究者たちは、電気刺激がうつ病の原因となる常習化したネガディブな思考回路の反復を抑え込んだのだと考えました。
特定の脳機能を遮断して精神的な効果を得ようとする手法は古くはロボトミー手術などで行われてきました。
ロボトミー手術の場合、脳の一部をその他の部位から切り離してしまうため取り返しがつかない結果となりますが、脳深部刺激療法の場合、損傷部位は電極が刺し込まれる部分だけであり、影響を最小限に抑えることが可能です。