巨大化した進化の流れを発見!
今回の研究では、このもっとも大きいパラプゾシアの1種類とされる「P.seppenradensis」が、いつどのように巨大化したかについて調査しました。
チームは、歴史上の化石と、新たに発見された化石を含めた、計154のアンモナイト化石を分析しました。
そして約8000万年前に大西洋の両側(イギリスとメキシコ)で、小さな関連種(Parapuzosia leptophylla)から進化した可能性があると発見したのです。
白亜紀後期にかけては、大きな気候変動があり海水の温度などにも変化がありました。
クジラの巨大化などには、水温の変化が関連していることがわかっていて、アンモナイトの巨大化も、気候変動が関係すると考えられていました。
しかし、今回の発見では、アンモナイトが巨大化していた時期と気候変動の時期は全てが一致しておらず、巨大化を説明するには不十分であることがわかりました。
では、なぜパラプゾシアという巨大な種類が登場してきたのでしょうか?
ここで、研究者たちはある生物が、パラプゾシアと巨大化と密接に関連していたことに着目します。
そのある生物とは、白亜紀後期の海を支配していた、獰猛な捕食者モササウルスです。
アンモナイトは、イカやタコと同じ頭足類であり、素早く水中を泳ぎ回る肉食動物でした。
そんなアンモナイトにとっての天敵が、モササウルスだったのです。
このモササウルスは、白亜紀後期にかけてどんどん巨大化しており、最大18mにまで達していたことがわかっています。
そして、その巨大化の傾向は、アンモナイトの巨大化傾向と密接に関連しているように見えたのです。
これは危険な捕食者の巨大化が、アンモナイトに対しての淘汰圧になったのではないか、と考えられます。
淘汰圧は進化にとって重要な要因です。
殻が巨大だったアンモナイトは、モササウルスの口に入らないために難を逃れたかもしれません。
そして、アンモナイトは危険な捕食者の巨大化に伴って、一緒にどんどん巨大化していった可能性があるのです。
ただ、両者の成長と進化を関連付ける明確な証拠は見つかっていないため、これはあくまで研究者の推測に過ぎません。
またしばらくすると、パラプゾシアはモササウルスの巨大かとは関係なく、サイズが縮小し始めたこともわかっています。
この事実を説明する方法は、現在見つかっていません。
ただ、研究者たちは、「現在この時期のアンモナイトの巨大化と相関する地球環境の傾向は確認されていない」と述べており、モササウルスとの関係は、現在考えられるもっとも最適な巨大進化の理由である可能性は高いかもしれません。