子育て好きな父親ほど、脳の「視床下部」が大きいことが判明
子育て好きな父親ほど、脳の「視床下部」が大きいことが判明 / Credit: jp.depositphotos
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子育て熱心な父親ほど、脳のある領域が大きいと判明

2021.11.13 Saturday

エセックス大学(University of Essex・英)の最新研究により、子育て好きな父親とそうでない父親では、脳のある領域が異なることが明らかになりました。

報告によると、子どもと過ごす時間が長く、子育てに積極的に関わりたいと答えた父親では、そうでない人に比べ、脳の視床下部が大きくなっていたのです。

視床下部は、愛着や愛情に重要な役割を果たすことで知られています。

研究は、10月27日付けで学術誌『Social Neuroscience』に掲載されました。

Caring, confident dads have structurally different brains – new research https://theconversation.com/caring-confident-dads-have-structurally-different-brains-new-research-171137 Dads who spend more time with their children have a different BRAIN STRUCTURE to less involved fathers, study finds https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-10191463/Dads-spend-time-kids-different-BRAIN-STRUCTURE-involved-fathers.html?ns_mchannel=rss&ns_campaign=1490&ito=1490
Hypothalamus volume in men: Investigating associations with paternal status, self-reported caregiving beliefs and adult attachment style https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/17470919.2021.1997799?journalCode=psns20

育児に熱心な父親ほど「視床下部が大きい」

研究チームは今回、50人の父親を被験者とし、のスキャンやアンケート調査を実施しました。

アンケートでは、子育てに対する考え方や、子どもとの時間をどれだけ過ごしているか、子育てに積極的に従事したいか、などの質問に回答してもらっています。

その結果、アンケートで高いスコアを記録した男性は、低スコアの人に比べ、視床下部の体積が大きいことが判明したのです。

視床下部は、大脳半球と中脳の間にある間脳に位置する(下図)、アーモンド大の脳領域を指します。

赤い部分が「視床下部」
赤い部分が「視床下部」 / Credit: ja.wikipedia

ヒトの脳重量のわずか0.3%ほどの小さな部分ですが、さまざまな神経核からなり、自律神経や体温の調節、摂食、睡眠、ストレス応答など、多くの生理機能にかかわっています。

また、愛着や愛情といった感情活動とも密接なかかわりを持っています。

さらに、脳スキャンの結果、「父親として子育てに従事したい」と考えている男性の方が、子どもとの脳のシンクロ率が高いことも分かりました。

同チームは、今年1月に発表した研究(Child Development, 2021)で、66名の父親(うち50名は本研究にも参加)とその子どもが一緒にパズルに取り組むと、脳活動にシンクロ(同期)が見られることを明らかにしています。

育児に熱心な父親ほど、子どもの脳とのシンクロ率が高い
育児に熱心な父親ほど、子どもの脳とのシンクロ率が高い / Credit: jp.depositphotos

この結果を受け、研究主任の‪Pascal Vrticka氏は、次のように述べます。

「現在、世界中の多くの社会で、父親の育児への参加が推進され始めています。

それに伴い、子どもと多くの時間を過ごし、より親密な関係を築きたいと考える男性も増えてきました。

実際、男性の脳は、母親と同様に、生物学的に親になるように配線されています。

このことは、私たちの研究において、父と子の脳活動にシンクロが見られることで明確に証明されました。

特に、子育てに積極的に参加したいと考える父親ほど、その傾向が強いことも示されています。

したがって、父親の育児への参加の重要性をより広い社会的文脈で推進し、可能な限り支援することは、非常に適切で正当なことでしょう」

その一方で、視床下部は、子どもと過ごす時間に比例して変化するのか、あるいは生まれつきサイズの大きい、つまり子育てに向いている人がいるのかは分かっていません。

研究チームは今後、この点について調査を進める予定です。

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