長くなる翼は「飛行能力」を保つため?
翼面荷重(よくめんかじゅう)とは、鳥や飛行機の翼に加えられる単位面積あたりの重さのこと。
これを踏まえて、研究主任のビテック・ジリネック(Vitek Jirinec)は、次のように説明します。
「温暖化の下で、体を小型化することは理論的に有利ですが、翼の長さの増大については説明が困難です。
しかし考えてみれば、翼を長くして質量比を小さくすることで、より効率的な飛行が可能となります。
これは、スリムなボディと長い翼を持つグライダーが、より少ないエネルギーで空を滑空できるのと同じ原理です。
反対に、翼の質量比が大きい鳥は、空中にとどまるために速く羽ばたく必要があり、多大なエネルギーの消費と、より多くの代謝熱を生み出してしまいます」
つまり、小型化しつつ、翼を長くすることは、高い飛行能力を保つ上で理にかなっているのです。
それと同時に、研究チームは「こうした変化が、進化的圧力に伴う遺伝子の変化によるものか、利用可能な資源に応じた成長パターンの違いによるものかは、まだ判断できない」と付け加えています。
ジリネック氏自身は「どちらの可能性もあるが、生物の進化が短いスパンで生じることを示す証拠に変わりはない」と話します。
また、「最大の収穫は、人の手から遠く離れた熱帯雨林の中心部で、温暖化による異変が確認できたこと」と続けました。
温暖化は今後、ますます深刻化すると予想され、生物がどれだけ対応できるかは未知数です。
こうした異変は間違いなく世界中で起こりつつあり、鳥類だけの問題ではありません。
果たして、人を含む生物たちは、温暖化の危機を乗り越えることができるのでしょうか。