温暖化でアマゾンの鳥たちに異変が起きつつある
温暖化でアマゾンの鳥たちに異変が起きつつある / Credit: jp.depositphotos
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温暖化の影響で、アマゾンの鳥は体が縮んでいる

2021.11.15 Monday

温暖化の魔の手は、人間の息がかかっていないアマゾンの熱帯林にまで及び始めているようです。

カリフォルニア統合生態研究所(Integral Ecology Research Center・米)はこのほど、過去40年間で、アマゾンに生息する鳥類の体が小さくなると同時に、翼幅が長くなっていることを明らかにしました。

これまでにも、鳥の体が小さくなっているという報告はありましたが、そのほとんどは渡り鳥が対象であり、要因も狩猟や殺虫剤、森林破壊が挙げられていました。

しかし今回は、人の手が入っていないアマゾンの鳥たちであり、温暖化が原因と見て間違いないようです。

研究は、11月12日付けで学術誌『Science Advances』に掲載されています。

Climate Change May Have Done 2 Odd And Contradictory Things to Birds in The Amazon https://www.sciencealert.com/climate-change-has-done-2-odd-and-contradictory-things-to-birds-in-the-amazon Amazon Rainforest birds’ bodies transform due to climate change https://phys.org/news/2021-11-amazon-rainforest-birds-bodies-due.html
Morphological consequences of climate change for resident birds in intact Amazonian rainforest https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abk1743

体は小さくなり、翼は長くなる

研究チームは、1970年代から約40年にわたり、アマゾンの鳥を一時的に捕獲し、体のサイズと翼幅を測定する調査を続けました。

対象としたのは、熱帯雨林の底部(暗く冷たい林床)から、日光が降りそそぐ樹木の中間層に分布する鳥類77種、合計で約1万5000羽です。

調査した鳥類の分布する高さ
調査した鳥類の分布する高さ / Credit: VITEK JIRINEC et al., Science Advances(2021)

データ分析の結果、77種すべてに平均体重の減少が確認され、うち36種は1980年以来、10年ごとに体重の2%が減り続けていました。

たとえば、1980年代に体重30gだった鳥類は、現時点で平均27.6gにまで減っています。

温暖化に対するサイズの縮小は、生物によく見られる適応反応です。

これは、寒い場所ほど体が大きくなり、赤道に近づくほど体が小さくなるという「ベルクマンの法則」に則っています。

体積が大きいほど、体熱の保持に優れ、小さいほど、熱を容易に放出できるからです。

この傾向は、特定の場所に限定されたものではなく、熱帯雨林の広い範囲に一貫して見られました。

その一方で、77種のうちの66種に、翼幅の増加傾向が確認されたのです。

体の縮小と翼幅の増加はとくに、飛行距離が長く、日光に長時間さらされる中間層の鳥たちで顕著でした。

体を小さくするのは理解できますが、翼を長くする理由はよく分かりません。

そこで研究チームは、翼面荷重の仮説(wing loading’ hypothesis)」を提示しました。

次ページ長くなる翼は「飛行能力」を保つため?

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