体は小さくなり、翼は長くなる
研究チームは、1970年代から約40年にわたり、アマゾンの鳥を一時的に捕獲し、体のサイズと翼幅を測定する調査を続けました。
対象としたのは、熱帯雨林の底部(暗く冷たい林床)から、日光が降りそそぐ樹木の中間層に分布する鳥類77種、合計で約1万5000羽です。
データ分析の結果、77種すべてに平均体重の減少が確認され、うち36種は1980年以来、10年ごとに体重の2%が減り続けていました。
たとえば、1980年代に体重30gだった鳥類は、現時点で平均27.6gにまで減っています。
温暖化に対するサイズの縮小は、生物によく見られる適応反応です。
これは、寒い場所ほど体が大きくなり、赤道に近づくほど体が小さくなるという「ベルクマンの法則」に則っています。
体積が大きいほど、体熱の保持に優れ、小さいほど、熱を容易に放出できるからです。
この傾向は、特定の場所に限定されたものではなく、熱帯雨林の広い範囲に一貫して見られました。
その一方で、77種のうちの66種に、翼幅の増加傾向が確認されたのです。
体の縮小と翼幅の増加はとくに、飛行距離が長く、日光に長時間さらされる中間層の鳥たちで顕著でした。
体を小さくするのは理解できますが、翼を長くする理由はよく分かりません。
そこで研究チームは、「翼面荷重の仮説(wing loading’ hypothesis)」を提示しました。