“助け合いは高等動物だけ”という常識を覆す
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大型の社会性動物、たとえばチンパンジーやイルカ、ゾウなどが、けがをした仲間や弱った仲間を助ける行動を示すことは以前から知られています。
こうした「助け合い」は知能が高い動物や群れの結束が強い動物だけの特権のように考えられてきました。
しかし、小さなマウスのように、普段は捕食される側になることも多い動物で、これほど積極的な救助行動が見られるかどうかは、あまり注目されていませんでした。
一方で、最近ではラットが閉じ込められた仲間を助ける実験結果が報告されるなど、「小型げっ歯類にも仲間を思いやる行動があるのではないか」という見方が少しずつ広がっています。
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とはいえ、今回の研究が明らかにしたように「意識を失った個体に対して、まるで応急手当のような動きをする」という例は、これまで一般にはほとんど知られていませんでした。
こうした背景の中、アメリカの南カリフォルニア大学(USC)の研究チームは、マウスという小さな動物でも、仲間の命に直接関わる行動を自発的に行う可能性があるかどうかを改めて検証したのです。