カメが鳥を襲うなんてありえるの?
ミシシッピアカミミガメ(学名:Trachemys scripta elegans)はアメリカで最も人気のあるペットの一種となっていますが、その結果、世界の侵略的外来種ワースト100にもランクインしています。
ペットとして飼われた個体が野生に放たれることで生息域を広げ、その適応力の高さから勢いよく繁殖しているのです。
これまで、ミシシッピアカミミガメは雑食性であるものの、主に水生植物や昆虫、小魚などを食べていると考えられていました。
大型の捕食者であるワニガメ(学名:Macrochelys temminckii)が小動物を捕食することは知られていますが、ミシシッピアカミミガメが生きた鳥のヒナを狩るという行動はほぼ前例がありません。
唯一、ヨーロッパで外来種として定着したミシシッピアカミミガメの捕食行動が1件報告されています。
ただそれも濁った水の中にカメの姿が消えていく写真が一枚撮れただけであり、攻撃や捕食の瞬間を示す証拠ではありませんでした。
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ところが今回、米ルイジアナ州マンデビルの池で、その決定的な瞬間が撮影されたのです。
2023年4月、Canoe & Trail Adventuresのアレックス・ランドリー氏は、ある母ガモがヒナたちを連れて泳いでいる様子を記録していました。
すると突然、ミシシッピアカミミガメが水中から姿を現し、ゆっくりヒナに近づいたかと思うと、すばやくヒナの1羽に噛みついて、水中に引きずり込んだのです。
驚いた母ガモはカメの甲羅を踏みつけて抵抗しましたが、カメもヒナも再び姿を現すことはありませんでした。
実際の映像がこちらです。(※ 音量に注意して、ご視聴ください)
報告を受けたアメリカ地質調査所(USGS)のブラッド・グロリオーゾ氏が先行研究も含めて詳しく調査し、ミシシッピアカミミガメが生きたヒナを襲うという明確な映像証拠が記録されたのはこれが初めてであることを確認しました。
またこの報告は「カメが穏やかな生き物」という一般的な見方を覆すものです。