トップバッターは本当に不利なのか?
多くの人は「コンテストでは後の順番のほうが有利になる」と聞いたことがあるのではないでしょうか。
これは審査員が1番手の演技を基準にして評価を進めるため、後半に行くにつれて評価が伸びやすくなる「カリブレーション効果」が発生するためです。
カリブレーション効果とは、「評価の幅が限られており、後に現れる選択肢の質が不確かな場合、評価者が将来の判断の余地を残すために極端な評価を避け、無難な中間評価を選びやすくなる傾向のこと」を指します。
要するに、早い段階で極端な高得点をつけてしまうと、後に適切な評価ができなくなることを懸念して、評価者はトップバッターほど平均的な得点をつけやすくなるのです。
実際、過去の研究でも、たとえばスポーツ大会や演劇コンテストでは、順番が後ろになるほど評価が高まる傾向が指摘されてきました。

しかし一方で、順番の影響は必ずしも一方向ではない(順番が後の方ほど有利ではない)という指摘もありました。
特に、競争率が低い場合や複数の合格枠がある場合には、早めの出場者が有利になる可能性も考えられていました。
ただし、これまでこのテーマが大規模なデータで検証された例はなく、特にお笑いコンテストという独特な環境での研究は初めてでした。