マインクラフト研究で「調子がいいときはソロ」「詰まったら模倣」が最速学習の極意と判明
マインクラフト研究で「調子がいいときはソロ」「詰まったら模倣」が最速学習の極意と判明 / Credit:miCredit:
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マインクラフト研究で「調子がいいときはソロ」「詰まったら模倣」が最速学習の極意と判明

2025.04.28 22:00:07 Monday

私たち人間は、自分で試行錯誤しながら知識や技術を身につけることもできれば、周囲の人々から見よう見まねで学ぶこともできます。
では、複雑な現実世界で新しいことを学ぶとき、どのように「自分の勘」と「社会からのヒント」を組み合わせるのがもっとも賢いやり方なのでしょうか。
この問いに、実はまだはっきりした答えが出ていませんでした。

マインクラフトの仮想世界を舞台にしたこの実験では、参加者が資源ブロックを探す過程で、単独探索と他者の成功を追う行動を絶えず行き来し、その適応力の高い人ほど多くの報酬を得ることができます。

ドイツのチュービンゲン大学(UT)で行われたマインクラフトを用いた実験によって、仲間の発見に頼りすぎず、自分の勘だけに固執もしない――状況に応じて戦略を柔軟に切り替える適応力が最も高い成績を残すことが示されました。

自分流を貫くこと、他人からノウハウを盗み続けること、どちらかに偏っていては成果はだせなかったのです。

では、現実の学びの場で私たちはどうすればこの“切り替え上手”になれるのでしょうか――あなたなら、次に何を学ぶときにどんなバランスで挑みますか?

研究内容の詳細は2025年4月25日に『Nature Communications』にて発表されました。

Adaptive mechanisms of social and asocial learning in immersive collective foraging https://doi.org/10.1038/s41467-025-58365-6

自分流×社会のヒント──勝者の方程式はここに

自分流×社会のヒント──勝者の方程式はここに
自分流×社会のヒント──勝者の方程式はここに / ゲームの中で価値ある資源を効率よく集めるには、自分で突き詰めるか他人を真似るか、どちらがいいのでしょうか?/Credit:clip studio . 川勝康弘

人間が社会的に学び合う能力は、世代を超えて知識を蓄積できるという点で人類の大きな特徴です。

私たちはこの力によって都市に高層ビルを建て、宇宙空間へと進出し、病気の治療法を生み出すといった驚異的な成果を成し遂げてきました。

しかし、社会的学習のメカニズムを調べる従来の実験研究の多くは、現実とはかけ離れた単純な課題を用いており、複雑な実世界で人々が個人の本能(経験則)と社会的な手がかりをどう統合しているかについてはほとんど分かっていませんでした。

このギャップを埋めるため、ドイツ・ベルリンのマックスプランク人間開発研究所やチュービンゲン大学、米ニューヨーク大学などからなる国際研究チームが立ち上がりました。

彼らの目的は、これまで別々に研究されがちだった「個人学習」と「社会学習」の適応的なメカニズムを一つの実験系で明らかにし、両者を架橋することにありました。

そこで研究チームは、人気ゲーム『マインクラフト』内に没入型の採集タスクという仮想実験環境を開発し、人間がリアルに近い状況で個人情報と社会情報をどう使い分けるかを詳しく調べることにしたのです。

また次ページの最後には研究によって判明した最速学習の方法をまとめて紹介しています。

次ページマインクラフト実験で「自分で極める」と「人を真似る」の最良バランスが判明

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