自分流×社会のヒント──勝者の方程式はここに

人間が社会的に学び合う能力は、世代を超えて知識を蓄積できるという点で人類の大きな特徴です。
私たちはこの力によって都市に高層ビルを建て、宇宙空間へと進出し、病気の治療法を生み出すといった驚異的な成果を成し遂げてきました。
しかし、社会的学習のメカニズムを調べる従来の実験研究の多くは、現実とはかけ離れた単純な課題を用いており、複雑な実世界で人々が個人の本能(経験則)と社会的な手がかりをどう統合しているかについてはほとんど分かっていませんでした。
このギャップを埋めるため、ドイツ・ベルリンのマックスプランク人間開発研究所やチュービンゲン大学、米ニューヨーク大学などからなる国際研究チームが立ち上がりました。
彼らの目的は、これまで別々に研究されがちだった「個人学習」と「社会学習」の適応的なメカニズムを一つの実験系で明らかにし、両者を架橋することにありました。
そこで研究チームは、人気ゲーム『マインクラフト』内に没入型の採集タスクという仮想実験環境を開発し、人間がリアルに近い状況で個人情報と社会情報をどう使い分けるかを詳しく調べることにしたのです。
また次ページの最後には研究によって判明した最速学習の方法をまとめて紹介しています。