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Credit: University of Oxford – Study finds dehorning rhinos drastically reduces poaching(2025)
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サイの密猟を「78%も激減させる」方法が明らかに!

2025.06.09 12:00:14 Monday

「殺されないために、角を切る」

そんな選択が、絶滅の危機にあるサイを救う最善の方法となるようです。

南アフリカのネルソン・マンデラ大学(NMU)の最新研究で、サイの角をあらかじめ切ってしまうことで、密猟を78%も減少させられることが実験で示されました。

サイにとってはかわいそうな話ですが、命を奪われるよりはいいのかもしれません。

研究の詳細は2025年6月5日付で科学雑誌『Science』に掲載されています。

 

Study finds dehorning rhinos drastically reduces poaching https://www.ox.ac.uk/news/2025-06-06-study-finds-dehorning-rhinos-drastically-reduces-poaching Dehorning Rhinos Cuts Poaching by 78% – Saving Thousands of Animals’ Lives https://www.sciencealert.com/dehorning-rhinos-cuts-poaching-by-78-saving-thousands-of-animals-lives
Dehorning reduces rhino poaching https://www.science.org/doi/10.1126/science.ado7490

なぜサイを密猟するのか?

サイの角は、私たちの髪や爪と同じ「ケラチン」でできています。

にもかかわらず、アジアやアフリカの一部地域ではいまだに「解熱や解毒に効く」などと信じられ、伝統薬や高級品として取引されています。

その価格は金やコカインを上回ることもあり、国際的な密輸ネットワークがサイの角を狙って動いています。

これにより、サイの中にはは今や絶滅危惧種に陥っている種もいるのです。

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Credit: canva

6年で2000頭近くが犠牲に

2025年の論文によれば、南アフリカにあるグレータークルーガー生態系の11保護区では、2017~2023年の間に1985頭のサイが密猟されました。

年間にしておよそ個体群の6.5%が失われていた計算です。

これは驚くべき数です。

しかも密猟者は銃や罠でサイを殺し、角だけを切り取って去っていくため、動物福祉の観点からも極めて深刻な問題となっています。

「守る」だけでは止められない

従来の対策は、警備員(レンジャー)の巡回、監視カメラ、追跡犬の導入、そしてアクセス制限など、いわゆる「法執行型」の対策が中心でした。

これらは密猟者の逮捕にはつながったものの、密猟そのものを減らす効果は統計的に確認されませんでした

その背景には、地元の貧困、警察や保護区職員の汚職、そして法制度の不備(例えば逮捕されても保釈ですぐに出られること)といった構造的な要因が横たわっています。

つまり「リスクを高める」アプローチでは、密猟者の行動を止めるには不十分だったのです。

次ページサイの角を切除する実験の効果

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