巨人の靴を発見⁈
発見の舞台は、イングランド北部にある古代ローマ軍の要塞「マグナ(Magna)」です。
この要塞は、西暦122年ごろに建設されたハドリアヌスの長城沿いに築かれた防衛拠点のひとつで、ローマ帝国がブリテン島北部に及んでいた痕跡を今に伝えています。
考古学者たちは、今年の春から要塞北側の堀を発掘しており、そのなかでも「足首くじき堀(ankle-breaker)」と呼ばれる細くて深い落とし穴状の溝の底から、保存状態の良い革靴2足を発見しました。
この特殊な堀は、水で隠すことで敵兵の足を引っかけて転倒させ、足を捻挫させたり骨折させたりするなど、戦闘不能にする目的で設計されたトラップです。
靴が発見された堀の中は酸素が極めて少なく、有機物が驚くほど良好な状態で残っていました。
このおかげで、複数の革の層からなる靴底、鋲(びょう)、かかとの一部までがきれいに残っていたのです。

特に注目されたのが、2足目の靴です。
つま先からかかとまで完全に形を保っており、ボランティアも考古学者も思わず感嘆の声をあげたといいます。
その長さはなんと32センチに相当していました。
当時の成人男性の平均身長が165センチ前後だったと考えられる中で、この靴を履いていた人物は、明らかに“規格外”の体格だった可能性があります。