話題のロックバンドが「AI」と発覚
The Velvet Sundownが音楽ストリーミングサービスに現れたのは2025年6月のことでした。
何の前触れもなく、Spotify、Amazon Music、Apple Musicなどの主要サービスに2枚のアルバムが登場し、ほどなくして数十万の再生数を獲得。
SNSでは「Spotifyのおすすめに突然出てきた」「妙に70年代ロックっぽいけど、どこか“作られた感”がある」との声が次々と上がり、RedditやTikTokでは「完全にフェイクだ」「画像もAIっぽい」といった議論が巻き起こりました。
フランスの音楽配信サービス「Deezer」では一部の楽曲に「AI生成の可能性あり」との注記も付けられています。
こちらが実際の楽曲の一つ。(※ 視聴の際は音量にご注意ください)
バンドの公式Xアカウントは当初、自身のAI疑惑について「怠惰で根拠のないジャーナリズムだ」として強く否定していました。
「僕たちはカリフォルニアのバンガローで、本物の楽器と魂で作ったんだ」と強調していたのです。
しかしその主張は、ローリングストーン誌の独占インタビューによって覆されました。
バンドのスポークスパーソンであり“準メンバー”を名乗るアンドリュー・フレロン氏が「実際にはAI生成プラットフォーム『Suno』を使用していた」と認めたのです。
当初は「ブレインストーミングに使っただけ」としていたフレロン氏も、インタビューの中で徐々に発言を変化させ、「一部の楽曲はSunoによって作成された」「ボーカルの一貫性を保つためにSunoの『ペルソナ』機能を使った」と語りました。
つまりこの“話題のバンド”は、楽曲も歌声もビジュアルも、すべてAIツールによって生成された作品群だったのです。