ヴェロキラプトルの「いとこ」登場
シュリ・ラパックスが生きていたのは、およそ7500万年前から7100万年前にかけてのモンゴルです。
当時ここは砂丘と湖が点在するゴビ砂漠のような環境で、多くの恐竜たちが共存していました。
ヴェロキラプトル・モンゴリエンシスが同じ地層から産出していることから、両者は同時代に生きていた「いとこ」のような関係にあります。
ヴェロキラプトルと同じく体長は頭から尻尾の先までを含めて約2メートル。
しかしシュリ・ラパックスはより頑丈な腕と手を持ち、特に親指の爪は8センチ近くに達する鎌状の刃でした。
これは同程度の体格を持つラプトル類の爪のほぼ2倍。
研究者たちは、指の骨格に発達した筋肉の付着痕が見られることから、獲物をしっかりと掴み、切り裂いたり突き刺したりするのに適していたと推測しています。
また、頭骨はヴェロキラプトルよりも幅広く、咬合力が強かったと考えられています。
こうした特徴は、シュリ・ラパックスがより大型で頑丈な獲物を狙うハンターであったことを示唆しています。
実際、研究者たちは彼らがプロトケラトプスや若いアンキロサウルス類といった、力強い草食恐竜を獲物にしていた可能性を指摘しています。