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ドライヤーとヘアケア用品の併用で大量のナノ粒子を吸引しているかも / Credit:Canva
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「ドライヤー+ヘアケア用品」で100億個のナノ粒子が肺に付着するかも

2025.08.26 06:30:21 Tuesday

人によっては、ヘアケア用品を使いながらドライヤーをかけることは日常です。

またヘアアイロンやヘアオイルやクリーム、美容液なども、美しい髪を維持するために欠かせないアイテムでしょう。

ですが、そんな日常のケアが、実は目に見えない「ナノ粒子の霧」を生み出しているかもしれません。

米パデュー大学(Purdue University)の研究チームは、一般的な整髪料と加熱器具を使ったスタイリング中に、大量の化学ナノ粒子が空気中に放出され、それが呼吸によって体内に取り込まれていることを明らかにしました。

この研究成果は、2025年8月4日付けの『Environmental Science & Technology』誌に掲載されました。

This daily routine sends billions of hazardous nanoparticles into the lungs https://newatlas.com/society-health/heated-hair-products-nanoparticles/ Heat-styling hair care products release billions of nanoparticles that can accumulate in lungs, engineers find https://phys.org/news/2025-08-styling-hair-products-billions-nanoparticles.html
Indoor Nanoparticle Emissions and Exposures during Heat-Based Hair Styling Activities https://doi.org/10.1021/acs.est.4c14384

ドライヤーとヘアケア用品で「ナノ粒子」が発生しているかも

多くの人は、車の排気ガスや工場の煙を吸ってしまわないように意識しています。

しかし、家庭内で生じる化学ナノ粒子の存在は見逃しているかもしれません。

近年では、家庭内で使うケア製品が、室内空気の質に与える影響が注目されています。

特に、整髪料とヘアアイロンやドライヤーといった熱を伴う器具を同時に使うことで、揮発性有機化合物(VOC)が大量に空気中に放出される可能性があると指摘されてきました。

2023年にパデュー大学が行った前段階の研究では、整髪料から発せられるVOC成分が空気中に広がる様子を質量分析装置で測定し、その問題を明らかにしました。

しかし、それらの化学物質が本当に粒子化して、にまで到達するのかどうかについては分かりません。

そこで、今回の2025年の研究では、「日常的な整髪習慣がどれほど多くのナノ粒子を発生させ、私たちがどれほど吸い込んでいるか」を実験で詳しく調べることにしました。

研究チームは、実際の生活環境に近い形で整髪を再現するため、実験用の小型住宅を使用しました。

被験者は合計7名(男性・女性)で、それぞれが普段使っている整髪料(クリーム、スプレー、美容液など)ヘアアイロン、カールアイロン、ドライヤーを持ち込みました。

合計21回のスタイリングセッションが行われ、道具の表面温度は一般的な150℃〜230℃に設定されています。

その間研究チームは、ナノ粒子測定器)化学成分測定装置を使って、空気中に含まれるナノ粒子の数と種類、そしてそのサイズ分布をリアルタイムに測定しました。

また、呼吸によってどのくらいの量が肺に沈着するかも、粒径と呼吸モデルに基づいて計算されました。

次ページ1回の整髪で100億個以上のナノ粒子が肺に沈着しているかも

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