極めて状態のいい化石を発見
パキケファロサウルス類は、太く分厚いドーム状の頭骨が最大のトレードマークです。
彼らは白亜紀後期(約8600万~6600万年前)の北半球を中心に繁栄した草食恐竜でした。
このグループについては多くの疑問が残されています。
なぜなら、これまで発見された化石のほとんどが、頭骨の断片だけという極めて不完全なものばかりだったからです。
体全体の姿は想像図に頼るしかなく、彼らの生態や進化の過程も、はっきりしていませんでした。
そんな中、今回の発見はまさに“パズルの最重要ピース”となりました。
こちらが実際の発見された化石。こちらは手のひらの上に乗せられた化石。
発見の舞台は、モンゴル・ゴビ砂漠東部に位置するクーレン・ドゥフ層。
研究チームがこの地で、新たな化石の発掘に挑戦したところ、約1億800万年前のパキケファロサウルスの頭骨を発見したのです。
その後の詳しい分析で、この化石は新種のパキケファロサウルスと判明し、新たに「ザヴァケファレ・リンポチェ(Zavacephale rinpoche)」と命名されました。
実際の化石の画像がこちら。
この化石は、全長約1メートル、体重5~6キログラムほどの小型の個体のものと推定されました。
しかもまだ成長途中の「10代」だったとみられています。
しかし驚くべきは、その保存状態です。
完全な頭骨だけでなく、パキケファロサウルス類で初めて見つかった「手」の骨、消化を助ける胃石、腱が残ったままの尾まで揃っていたのです。
他の同時代の恐竜化石と比べても保存度は抜群。
砂岩に包まれた柔らかい堆積物が、化石を衝撃から守ったことで、三次元的な歪みもほとんどありませんでした。