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Credit: canva
psychology

似た精神疾患をもつ男女は「恋人同士」になりやすい

2025.12.26 07:00:48 Friday

恋愛は価値観や趣味が合う相手を選ぶものだと思われがちです。

性格や音楽の好み、政治的立場など、いわゆる「相性」を左右する要素はいくらでもあります。

ところが最近、もう一つ意外な共通点が、カップルを近づけているかもしれないと示されました。

それは「精神疾患の診断が似ていること」です。

本研究では、台湾・デンマーク・スウェーデンの国民健康保険データを使い、合計600万組以上のカップルについて、精神疾患の診断がどれほど「カップル内で重なるか」を解析。

対象となったのは、台湾500万組、デンマーク57万1,534組、スウェーデン70万7,263組です。

その結果、何らかの精神疾患の診断を受けた人は、診断のない人と結婚するより、同じ、または似た精神疾患の診断をもつ相手と結婚する確率が高かったのです。

Spouses are more likely to be diagnosed with the same mental health conditions – here’s why https://theconversation.com/spouses-are-more-likely-to-be-diagnosed-with-the-same-mental-health-conditions-heres-why-264837

600万組を調べたら「診断が重なるカップル」が多かった

研究で調べられた精神疾患は9種類です。

うつ病、不安障害、物質使用障害、双極性障害、神経性やせ症(拒食症)、注意欠如・多動症(ADHD)、自閉スペクトラム症、強迫性障害、統合失調症が含まれます。

これらについて、カップルの両者が同じ、または近い診断を受けている割合が統計的に検討されました。

この手の話を聞くと、「同じ悩みを抱える人は支え合えるから、結果として恋人同士になるのでは」と直感しがちです。

実際、結果そのものは頑健だとされます。

ただし、著者らは解釈に注意点があることも明確にしています。

最大のポイントは、恋愛関係の開始時期と診断の時期が記録されていないことです。

つまり、交際や結婚の後に診断がついた可能性があり、その場合「同じ精神疾患を持つ人を恋人に選んだ」とは言い切れません。

そして何より、この研究は観察研究です。原因を確定するものではなく、「同じ診断がカップル内で重なりやすい」という事実を示しているにとどまります。

それでも、なぜそうなるのかを考える手がかりはあります。研究者たちは、いくつかの心理学理論がこの現象を説明し得ると述べています。

次ページ「なぜ似た診断の人同士が惹かれやすいのか」4つの説明

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