なぜ犬も鳥もサルも人間もあくびをするのか?

そもそも「あくび」とは、どんな動きでしょうか。
私たちがあくびをするとき、まず口を大きく開けて、ぐっと息を吸い込み、そのまま少し止めてから、今度はふーっと息を吐き出します。
顔の筋肉や、舌、のど、胸やおなかの筋肉まで、全身のいろいろな部分が連動して動いています。
この「あくび」という行動は、人間だけでなく、イヌやネコ、ウシ、さらにはトカゲやカエルのような動物にも見られることがわかっていて、とても基本的な体の動きのひとつだと考えられています。
しかし「本当は何のためにある動きなのか」は、じつはまだはっきりしていません。
酸素をたくさん取り入れるため、脳の温度を下げるため、眠気や集中力の変化を知らせるため、さらにはあくびの持つ感染性から仲間同士のコミュニケーションのサインなのではないか、など、いろいろな説がこれまでに出されてきましたが、決定打はないのです。
コラム:人間にも動物にもみられるあくびの感染性
じつは「あくびがうつる」という現象は、人間だけの不思議ではありません。誰かがあくびをした動画を見ているうちに自分もあくびが出てしまうように、チンパンジーやボノボ、マカクザル、ヒヒなどの霊長類でも、仲間のあくびを見たあとに自分もあくびをする様子が観察された報告があります。さらにおどろくことに、イヌやオオカミ、インコなどの鳥類でも、条件によっては「他個体のあくびをきっかけに自分もあくびをする」行動が報告されています。とくにイヌの場合、人間の見知らぬ人よりも、仲の良い飼い主のあくびのほうがうつりやすいという研究もあり、「あくびの感染性」が、単なる反射ではなく、相手への親しみや関心の強さと関係しているのではないかと考えられています。人間でも、家族や友だちのあくびのほうが、通りすがりの他人のあくびよりうつりやすいというデータがあり、ここから「相手の気持ちをなんとなく感じ取る力(共感性)」や、「ついまねしてしまうクセ(まねっこ行動)」との関わりが議論されていますが、まだはっきりした答えは出ていません。また、あくびが集団の中で次々と広がることで、グループ全体の眠気や活動のタイミングをそろえたり、いっせいに脳をリフレッシュして警戒心を高めたりしているのではないか、という進化的な説も提案されています。私たちが誰かのあくびにつられてしまうとき、その裏側では、脳の中で「相手と足並みをそろえようとするはたらき」や「相手の状態を自動的に読み取ろうとするはたらき」が静かに動いているのかもしれません。
最近よく取り上げられるのは、「あくびは脳を冷やすためのしくみではないか」という考え方です。
顔や首の血管を通る血液の温度が下がると、脳の温度も下がりやすくなるのでは、と考えられているのです。
また、脳の中で出た老廃物、いわば「ごみ」を流すのを助けるのではないか、という説もあります。
ここで大事になってくるのが、「脳脊髄液」という存在です。
私たちの脳は、頭蓋骨の中にギチギチに詰まっているわけではなく、「脳脊髄液」という透明な液体のプールにぷかぷか浮いています。
この脳脊髄液は、脳にかかる衝撃をやわらげるクッションの役割を持つだけでなく、栄養や老廃物を運んだり、脳の温度を調整したりする“見えないライフライン”です。
その流れ方が変われば、脳の環境も少しずつ変わっていきます。
同じ場所には、もちろん血液も流れています。
脳で使われた血液は首の横を通る太い静脈「内頚静脈」を通って体のほうへ戻っていきます。
近年の研究でわかってきたのは、こうした脳脊髄液や血液の流れが、「呼吸」と深く結びついているということです。
私たちが息を吸ったり吐いたりするときに胸やお腹の中の圧力が変わり、その変化が首や頭の中に伝わって、脳脊髄液や血液の流れに影響していることがわかってきました。
とくに、大きく深呼吸をすると、脳の中や背骨の中を流れる脳脊髄液の動きがふだんよりずっと大きくなることが報告されています。
では、「あくび」のときはどうでしょうか。
あくびも、大きく口を開けて深く息を吸い込みますから、一見すると強い深呼吸とよく似た動きに見えます。
そのため、これまでは「あくびも深呼吸の一種なので、脳脊髄液や血液の動きもだいたい同じなのではないか」と考えられてきました。
しかし意外なことに、「あくびの最中に、脳脊髄液や血液が実際にどのように動いているのか」を、詳しく計測した研究はほとんどありませんでした。
コラム:あくびを人工的に増やす方法がある
実は科学的に“あくびを増やすコツ”はいくつか知られています。ある実験では、参加者にあくび動画を見せる前に、首の頚動脈あたりに「冷たい保冷剤」「あたたかいカイロ」「常温のパック」のどれかを数分あててもらいました。その結果、首を冷やしたグループでは、あくびをした人の割合も一人あたりのあくび回数もはっきり少なくなり、逆にあたためたグループでは冷却時の3倍近くあくびが出たのです。また、逆に額を冷やしたり、鼻で呼吸したりすると、あくびがうつりにくくなるという報告もあります。また周囲の温度についても「ちょっと暑いくらいの“適温ゾーン”であくびが多く、すごく暑い&すごく寒いとどちらでも減る」という関係性が示されています。外気や体の他の部分が脳より少しだけ冷たいときには、あくびによって頭の中の熱を外へ逃がすのがちょうどよく働きますが、極端に暑い・寒い環境では、脳に適さない温度の血液が流れ込む可能性があるので、あくびが控えられると考えられています。
もう一つ、研究者たちが気になっていたのが、「あくびの動きそのもの」の謎です。
もし「あくびは、単なる強力な深呼吸にすぎない」のなら、脳脊髄液や血液の流れの大きさや向きは深呼吸とほぼ同じになるはずです。
しかし、あくびのときだけ特別な流れのパターンが見つかるなら、あくびには深呼吸とは独立した別の生理的な役割があるかもしれないと考えられます。
もうひとつの問いは、「あくびのときの舌やあごの動きは、その人の中でどのくらい毎回同じなのか」です。
同じ人が何度もあくびをしたときの動き方がほとんど重なるくらい似ていれば、あくびの運動は脳の奥にある自動運転の仕組みによって決められている、という考えにより説得力が出てきます。
そこで今回研究者たちは、こうした背景をふまえて、「あくびのとき、脳脊髄液と血液は本当に深呼吸と同じように動いているのか」「それとも、あくび特有の流れ方があるのか」を確かめようとしました。
同時に、「同じ人が何度もあくびをしたとき、その舌の動き方はどれくらいそっくりなのか」を調べることで、あくびというありふれた行動の裏に潜む高度なメカニズムとその役割を解明することにしました。



























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