もう「ただのあくび」と軽く扱えない

あくびはなんのために行われているのか?
研究者たちは、この「脳脊髄液と血液がそろって下へ流れる」という特徴的なパターンが、脳の中の環境をととのえるのに役立っているかもしれない、と考えています。
一つ目の可能性は「脳の掃除の手伝い」です。
脳脊髄液は、脳で生まれた老廃物を運び出す重要な通り道ですから、あくびのときに脳脊髄液と静脈の血液が一緒に頭から首・脊髄のほうに向かって押し出されると、ちょうど水槽の水を下の排水口のほうにぐっと流すような働きになっていると考えられます。
論文でも、このような流れの変化が、首のまわりにあるリンパの流れや脳の老廃物の排出を後押ししている可能性についても触れています。
もしかしたら、あくびは脳内に停滞していた古い液体や血を一気に下に押し流し、新鮮なものに入れ替える前準備として進化したのかもしれません。
犬や猫では行動を始める前などにあくびがみられますが、あくびを脳のリフレッシュ準備と考えれば辻褄が合います。
二つ目の可能性は「脳を冷やすクーラー」としての役割です。
人間の脳は、体の中心より少し高い温度で働いていることが多く、熱をため過ぎるとうまく働かなくなってしまいます。
あくびのときに脳脊髄液と静脈の血液が一緒に頭から出ていくことで、脳から余分な熱を運び出し、その代わりに胸のほうから入ってくる動脈の血液が、少し冷えた状態で脳を冷やすのに役立っているかもしれないという考えです。
先のコラムで触れたように、周りの温度や首まわりを温めるとあくびが増え、逆に冷やすと減るという報告があり、今回の「流れの向き」の結果は、その生理学的な裏づけになるかもしれません。
さらに、舌やあごの動きがその人の中で毎回ほとんど同じ「型」をとること、あくびのあとには高い確率で「ごくん」という飲み込みが続くことも重要なポイントです。
これらは、あくびが歩くときの足のリズムのように脳幹の中にある中央パターン発生器という神経回路によって、自動的に組み立てられている可能性を示しています。
あくびも「脳があらかじめ用意している標準プログラムの一つ」という考えです。
ただ今回の研究では、人間を被験者にしているが故の制限もあります。
動物実験ならば中枢神経まで切り開き、脳脊髄液や血液の成分や温度を直接的に調べることで、あくびが本当に「脳の掃除」や「脳の温度調節」を行っているか、行っているとしたらどの成分を除去したり、何度をあたりを狙って調節しているかを調べることができます。
また脳幹の特定の回路を物理的に切断するなどの方法で、あくびが正常にできなくなるかを調べることで、あくびの自動性が歩行のように脳幹による制御なのかも確かめられるでしょう。
しかし人間を対象にそのような実験はできません。
それでも、この研究は今後の展望をいくつも開いてくれます。
脳脊髄液や血液の流れという情報をもとに、人間ではできなかった実験を動物に対して行うことで、「脳の掃除」や「脳の温度調節」についての直接的なデータが得られるでしょう。
また、睡眠や覚醒、注意力の変化とあくびのタイミングの関係を、今回のような流れのデータと組み合わせて調べれば、眠気や集中力のコントロールに関する新しいヒントが得られるかもしれません。
認知症や脳の循環障害など、「脳のゴミ処理」や血流が大きく関係する病気との関連を探る研究も考えられます。
応用の面では、たとえば将来、脳脊髄液や血液の流れ方を見ながら、「この人は眠くなりすぎている」「脳が熱を持ちすぎている」といった状態を早めに察知する技術が生まれるかもしれません。
もしかしたら未来の学校で先生が「昔の人は脳のリフレッシュ機構として重要な「あくび」のを、なぜか怠惰のサインとして扱っていた」と雑学を披露すると、生徒たちが「そんなの嘘だ~」と騒ぐ光景がみられるかもしれません。



























![[WILL CLENS] シューズパウダー 日本製 無香料 シューケアキット 靴 消臭 パウダー (1本)](https://m.media-amazon.com/images/I/41m8Ig2XigL._SL500_.jpg)
![[W.P.S.] 防水スプレー 除菌 抗菌 防汚 機能付き 大容量420ml 日本製](https://m.media-amazon.com/images/I/41aHfy9uuZL._SL500_.jpg)
![よーく聞いてね!3つのヒントで学ぶ!どうぶつカード ([バラエティ])](https://m.media-amazon.com/images/I/51zT3OcliFL._SL500_.jpg)






















