液体が固体のように「パキッ」と折れる瞬間を発見――研究者は思わず機械の故障を疑った
液体が固体のように「パキッ」と折れる瞬間を発見――研究者は思わず機械の故障を疑った / Credit: Drexel University
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液体が固体のように「パキッ」と折れる瞬間を発見――研究者は思わず機械の故障を疑った

2026.04.08 18:35:35 Wednesday

指先にハチミツや水あめを少しつけて、ゆっくりと指を離してみます。

すると徐々に細長い糸を引き、最後にはすっと静かに切れていきます。

粘り気のある液体は「じわじわと変形して切れる」のであって、木の枝のように突然”折れる”ことはない――これは多くの人々にとって身近な常識です。

実際、室温にあるハチミツや水あめを扱っていて「パキッ」と折れたシーンに遭遇した人はほぼ皆無でしょう。

ところがアメリカのドレクセル大学(DU)と石油大手エクソンモービルの研究チームが、粘り気のある液体を十分な力で素早く引き伸ばすと、まるで金属の棒が折れるときのように大きな音を立てて突然破断する瞬間を、実験で捉えることに成功しました。

この発見は物理学で定評のある学術誌『Physical Review Letters』に2026年3月付で掲載され、流体力学の基礎を問い直すきっかけとなる結果として注目を集めています。

Drexel Researchers Discover Liquids Have a Breaking Point https://drexel.edu/news/archive/2026/March/liquid-breaking-point
Unexpected Solidlike Fracture in Simple Liquids https://doi.org/10.1103/t2vy-32wr

「流れる」はずの液体が、突然”折れた”

「流れる」はずの液体が、突然"折れた"
「流れる」はずの液体が、突然"折れた" / Credit: Lima et al., Physical Review Letters (2026)

学校の理科で習うように、物質には固体・液体・気体という3つの状態があります。

固体は形が決まっていて、力を加えると割れたり折れたりする。

液体は形が決まっておらず、力を加えられるとじわじわと変形して流れる。

両者の違いは、小学生でも直感的に説明できるくらい、はっきりしているように見えます。

ところが研究チームは、タール状のねばねばした炭化水素を材料に液体の引っ張り試験を行っていた最中、予想もしなかった瞬間に立ち会います。

液体を両端から引き伸ばしていくと、普通は糸を引くように細くなっていくはずなのに、ある瞬間、液体が細く伸びきる前にまるで乾いた枝が折れるような大きな音を立てて、真っ二つに裂けたのです。

論文の筆頭著者であるタミレス・リマ博士は、当時の驚きをこう振り返っています。

液体からそんな音が出るはずがないので、最初は高価な実験装置のほうが壊れたのかと思った、と。

音の出どころが引き伸ばしていた液体そのものだったと気づくまで、しばらく時間がかかったといいます。

研究を率いるニコラス・アルヴァレス教授も、あまりに予想外の現象だったため、本当に現実に起きたことなのか確かめるために、同じ実験を何度も繰り返さざるを得なかったと語ります。

最終的に、1秒間に4万コマを撮影できる高速度カメラが捉えた映像の中に、金属の棒が折れるそれとほとんど変わらない「破断面」がはっきりと映っていたことで、研究者たちはこの現象が本物であると確信するに至りました。

次ページ鍵は「引っ張る速さ」だった

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