水でさえ固体のように「パキッ」となる可能性がみえてきた

さらに研究チームは破断が起きる瞬間にかかっていた力の大きさを精密に測定しました。
すると粘り気を揃えた液体どうしなら、化学的な中身が違っていても、どれもおおむね「1cm²あたり20kg(20気圧程度)」の引っ張り力がかかった瞬間に、固体のように「パキッ」と折れることがわかりました。
これはつまり、液体の破断は化学の問題ではなく、主に物理的な性質――とりわけ液体の「粘り気」の問題で決まっている可能性が高いことを意味しています。
さらに研究チームは温度を変えながら実験を重ね、興味深いもう一つの事実を突き止めました。
液体を温めると粘り気は下がり、サラサラに近づいていきます。
そのため同じ液体を折る現象を起こすには、さらに速く引っ張る必要がありました。
ところがここで不思議なことが起きます。
粘り気を下げた液体を、必要なだけ速く引っ張って無理やり折ってみると、破断が起きた瞬間にかかっていた力の大きさは、やはり先ほどと同じ「1cm²あたり20kg」前後だったのです。
温めて粘性が低下すると、引っ張られたときにかかる力は、なかなか上昇しにくくなりますが、それでも速度を上げて「1cm²あたり20kg」を実現すると粘性が低下していても「パキッ」と折れてしまったのです。
つまり、液体を折るのに必要な”引っ張る速さ”は粘り気に応じて変わる一方で、実際に破断が起きるときの”力の強さ”そのものは、どうやら液体が共通してもっている一種の「壊れる目安」のような値に近づいていくらしいのです。
この発見は、研究チームにさらに大きな期待を抱かせました。
もし十分に速く引っ張れる装置さえ用意できれば、水や油のようなサラサラした身近な液体も、同じ”折れる”性質を見せてくれるかもしれないからです。
この発見は、決して実験室の中だけにとどまる話ではありません。
インクジェットプリンターが紙にインクを打ち出す瞬間、3Dプリンターが樹脂を押し出す瞬間、工業用の繊維が細く引き伸ばされる瞬間、あるいは血管の中を血液が高速で流れるとき――液体が「速く動かされる」あらゆる場面で、今回の”液体の破断”が密かに関わっている可能性があります。
今日も液体たちは高速で引っ張られ続けており、もしかするとそのどこかで、誰にも気づかれない”液体の破断”がひっそり起きているのかもしれません。
今回の研究は、私たちが液体に抱く印象を大きく変えるものになるでしょう。
液体は、いつでも流れるわけではない。
流れるはずのものにも、折れる瞬間がある。
しかもその瞬間は、私たちが学校で受け取ってきた「固体と液体の違い」を、想像以上に細い一本線へと変えてしまうからです。
もしかしたら未来の教科書の片隅に「液体も折れるって本当?」という小さなコラムが載る日が来るかもしれません。
次ページでは今回の研究を、子供の頃に遊んだ「スライム」に当てはめてみます。






























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