経済的困難は「いつ苦しかったか」だけでなく「どう変化したか」が重要
経済的に厳しい状況が、心の健康に影響することは以前から知られていました。
特に子ども時代の貧困は、教育機会や健康、将来の生活環境にも関わるため、長期的な影響を残す可能性があります。
それでも人生は一枚の写真ではなく、長い映画のように変化していくものです。
子どもの頃は苦しかったものの、大人になるにつれて生活が安定した人もいれば、逆に若い頃は困っていなかったのに、高齢期にかけて経済的に厳しくなる人もいます。
そこで研究チームは、経済的困難を「ある時点」だけで見るのではなく、子ども期から高齢期までの変化の軌跡として捉えることにしました。
分析に使われたのは、2012年に実施された「長寿社会における中高年者の暮らし方の調査」のデータです。
対象となったのは、全国から層化二段無作為抽出で選ばれた高齢者のうち、調査に回答した60〜92歳の男女1324人でした。
研究では、「18歳以下」「25〜35歳」「35〜50歳」「現在」の4時点について、生活必需品への支出に困ったかどうかを尋ねました。
また、現在の抑うつ傾向は、CES-D-8という8項目の尺度で評価されました。
その結果、経済的困難の推移は5つのタイプに分かれました。
「一貫して経済的困難が小さい群」「経済的困難が徐々に和らいだ群」「経済的困難が中程度で推移した群」「経済的困難が徐々に強まった群」「一貫して経済的困難が強い群」です。
そして大きな発見は、子ども時代には苦しかったものの、その後に困難が徐々に和らいだ人たちでは、一貫して困難が強かった人たちに比べて、抑うつ傾向が低かったことでした。
より詳細な結果は、次項で見ていきましょう。

























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