地球の気温変化の歴史を再構築する
今回の研究は、過去2万4000年の間の地球の温度変化を調査しています。
しかし、古い時代の気温をどうやって明らかにしているのでしょうか?
これにはさまざまな方法が存在しますが、今回チームは2つの独立した異なる方法のデータセットを組み合わせることで、過去の地球気温の完全な全体像を作成しようと試みました。
1つ目の方法は、海洋堆積物の化学的特徴の調査です。
海洋堆積物に含まれる、動物の死骸(殻)には、時間経過に伴う温度変化の影響が化学的性質として保存されています。
古気候学では、これを測定値として使用し、特定の地域の温度を推定していきます。
これは完璧な温度計とは言えませんが、古い時代の気温を知るための手がかりとなります。
もう1つの方法は、コンピュータシミュレーションで再現された気候モデルです。
これは気候システムの物理学をよく理解している科学者によって提供される情報ですが、こちらも完全なものとはいえません。
チームはこの2つの方法のそれぞれの長所を活用し、組み合わせて、データを作成しました。
こうした手法は「データ同化(data assimilation)」と呼ばれていて、地球科学の分野では、正確な数値モデルを作る際によく利用されています。
天気予報でも一般的に利用されている方法です。
「天気予報では、気象学者は現在の天気を反映するモデルから始めて、次に温度、気圧、湿度、風向などの観測データを追加して、予測を完成させます」
アリゾナ大学で地球科学を専攻するジェシカ・ティアニー准教授はそのように説明しています。
チームはこれと同じことを、過去の地球の気候予測に適用させたのです。
では、実際にチームが作製した地図で、地球の気温が2万4000年間でどのように変化していったのか見てみましょう。