ワイルドストロベリー
ワイルドストロベリー / Credit:Ural-66(Wikipedia)_Fragaria vesca
fungi

菌類を利用して野イチゴの天然香料が発見される (2/2)

2021.11.20 Saturday

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菌類を利用して甘酸っぱい野イチゴの香りが生成される

が繁殖した後、チームは発酵した材料の香りを1つずつ確認していきました。

その結果、菌の種類によって、フルーティー系、ハーブ系、トロピカル系、麦芽系、カビ臭いもの、金臭いものなど、さまざまな香りが生まれました。

ツォーン氏によると、「いくつかの香りは本当にひどいものでしたが、中には心地よく高評価できるものが見つかりました」と述べています。

カシスとマツホドから野イチゴの香りが生まれる
カシスとマツホドから野イチゴの香りが生まれる / Credit:Holger Zorn(Justus Liebig University Giessen)_Wild Strawberry-like Flavor Produced by the Fungus Wolfiporia cocos─Identification of Character Impact Compounds by Aroma Dilution Analysis after Dynamic Headspace Extraction(2021)

そしてその中には、甘酸っぱいイチゴの香りも含まれていました。

この香りはカシス(またはクロスグリ)の搾りかすと、マツホド(学名:Wolfiporia extensa, またはWolfiporia cocosとも言われる)という漢方薬に利用される菌類の組み合わせで生まれたようです。

次にチームは、この香りを引き起こしている化合物を特定することにしました。

その結果、(R)-リナロール、アントラニル酸メチル、ゲラニオール、2-アミノベンズアルデヒドなどの4つの化合物の組み合わせが、甘酸っぱいイチゴの香りの正体だと判明。

そしてこれらの化合物はすべて、野イチゴであるワイルドストロベリーに含まれていました

新しく作られた香料はワイルドストロベリーの香りだった
新しく作られた香料はワイルドストロベリーの香りだった / Credit:Jörg Hempel(Wikipedia)_Fragaria vesca

新しく見つかった香りは、単なるイチゴの香りではなく、野イチゴの香りだったのです。

さらにチームは、これらの化合物を人工的に合成して、「野イチゴの合成香料」を作成することに成功しました。

その合成香料からは、「野生に生育している野イチゴの自然な香りがした」と報告されています。

さて本物の野イチゴは、森の中でたくさん入手することが難しく、一粒一粒を香料に利用するのは効率的ではありません。

つまり野イチゴの香料は非常に珍しいのです。

現在、「野イチゴの香り」の特許はすでに企業によって買収されています。

今後は大量生産され、「野イチゴのナチュラルフレーバー」として食品などに利用されていくかもしれません。

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