果物の搾りかすと菌類から新しい香りを生み出す
これまでにも菌類を利用していくつかの香りが再現されてきました。
例えば、バラの香りをもつ化学物質「フェネチルアルコール」を作るためにも酵母が利用されています。
ツォーン氏らは、ココナッツやミントの香りを作るために、別の菌類を利用したこともあります。
また菌類ではないものの、ある種の微生物はバニラの香りを生み出す「バニリン」の生産時に利用されてきました。
そして今回ツォーン氏らは、これまであまり利用されてこなかった菌類から新しい香りを生み出そうと考えました。
研究チームが取った方法は、「農業廃棄物を使って菌類を培養する」というもの。
果物を絞ってジュースを作ると、果肉や種、また皮などが混ざった「搾りかす」ができます。
通常、この搾りかすは廃棄されたり家畜のエサになったりします。
しかしこれらには繊維質、タンパク質、糖質が豊富に含まれており、菌類を発酵させるためにはピッタリなのです。
そこでチームはいくつかの搾りかすで数百種類の菌類を培養し、そこから得られる香りをチェックすることにしました。