赤ちゃんは生後2カ月で「ユーモア」を理解し11カ月で自己生成すると判明
赤ちゃんをあやすように言われた場合、多くの大人は「いないいないばぁっ!」などに代表される「変顔」や「寄声」「奇行」を組み合わせた、対赤ちゃん用のユーモアを試みます。
経験的な知識から、それら奇妙な行動が赤ちゃんを喜ばせることを知っているからです。
また2歳を過ぎた幼児は「いないいないばぁっ!」や「変顔」よりも「意味がないけど面白い単語」や「モーと牛の声で鳴く犬」など言語能力や知識の間違いに依存したユーモアが好まれます。
しかし私たちはこれらの知識を何となく知ってはいるものの、赤ちゃんの年齢と好まれるユーモアの種類について体系的な研究が行われることはありませんでした。
そこで今回、ブリストル大学の研究者たちは671人の赤ちゃんを対象に、改めてユーモアの能力を調べることにしました。
データの収集にあたって研究者たちは視覚・触覚・聴覚などに関連した20個の評価項目を作成し、両親たちに赤ちゃんのユーモア能力を評価してもらいました。
結果、生後2カ月の段階で50%の赤ちゃんが両親のユーモア(「いないいないばぁっ!」など)に反応し、生後11カ月になると50%の赤ちゃんが何らかのユーモアを自分で生み出し、両親の注意や笑いをうながしていることが判明します。
また赤ちゃんが自らユーモアを生成しはじめると頻度は加速し、調査対象となった赤ちゃん(1~47カ月)たちの半数が、過去3時間に何らかのユーモアを生成していることが示されました。
さらに赤ちゃんが好むユーモアを分析したところ
1歳未満では、変顔や変声、くすぐり、「いないいないばぁっ!」など視覚や聴覚、触覚の「意外さ」に訴えるユーモアが好まれ
1歳になると、手や服で顔を隠したり脚の間から顔を出すなど身体箇所の「違和感」、人間による動物の真似や、モーと鳴く犬など知識の「エラー」に訴えるユーモアが好まれるようになり
2歳になると、意味のない言葉の繰り返しなど言語的な「エラー」を好みはじめ、他人をからかったり、突飛ばしたりするなど「攻撃」も笑いの範疇に入りはじめ
3歳になると、大人と同じダジャレやトリックなどの言語や視覚の「違和感」が通じるようになり、いたずらなど社会的ルールに対する「タブー」を面白いと思うようになることが判明します。
これらの結果は、赤ちゃんにとってのユーモアも大人と同じく、意外性・違和感・タブー・エラーそして攻撃を基本にしていながら、成長とともにその範囲が知識・言語・社会ルールへと拡張していくことを示します。
もしかしたら私たちが忘れてしまった幼いころは、日々新しいユーモアを発見する、笑いと驚きにあふれた時代だったのかもしれません。