・「教育」や「仕事」などの社会的要因が、大人になっても脳の構造を変化させる
・社会的地位が高い人と低い人では、脳の灰白質の厚さが異なる
・この研究の規模では、まだ「社会的地位」と「脳の構造」のつながりについて結論を出すことはできない
人間の脳が、大人になってからの社会経済的地位によって構造を変えている可能性があることがわかりました。これまで、教育などの環境が子どもの脳を変化させることはわかっていましたが、それが大人になっても同じであるということです。
http://www.pnas.org/content/early/2018/05/08/1714021115
テキサス大学で行われたこの実験では、20-90歳の被験者300名の脳内を断層撮影。社会的地位については、彼らが受けてきた教育と、仕事の内容で総合的に判断しました。
その結果、大人の「社会経済的地位」と「脳の構造、機能」の間につながりがあることが示されたのです。
中高年の「社会経済的地位が高い」とされた人の脳内ネットワークは効率的に組織されており、灰白質が厚い傾向がみられました。逆に、「社会経済的地位が低い」とみなされた人の灰白質は薄く、この特徴は、アルツハイマーなどの認知機能障害と結び付けられます。
医用画像の専門家の一人は、この研究を「非常に興味深い分野の研究」と評価する一方、「この結果を確かな証拠として断定するには、規模が小さすぎます。確実性を担保するためには、さらなる研究が必要となるでしょう」と語り、この研究の限界について触れています。
研究を率いたガガン・ウィグ博士は、「経済的な地位は、あらゆる要因に影響します。食事や医療、ストレスのレベルも地位によって異なります。そのどれが、脳に影響を与えているのかはわかっていません。しかし、おそらく大人になってからの社会経済的地位が、脳の健康に影響を与えているのは確かでしょう」と語り、さらなる研究への意欲をみせています。
via: independent / translated & text by なかしー
関連記事
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/5197
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/2952