にやにや笑って見える銀河
2014年、ニュージーランドのアマチュア天文学者が、ケンタウルス座の方角から発せられた明るい輝き(フレア)を観測しました。
これは、その後NASAが調査したところ、5700光年離れた別の銀河で起きた大規模な超新星爆発によるものだと判明したのです。
そして、その銀河へハッブル宇宙望遠鏡を向けて2021年の最後に撮影されたのが、上の画像です。
なんだかピエロが笑っているようにも見えますね。
これは地球からケンタウルス座の方角へ約5700万光年離れた位置に存在する棒渦巻銀河「NGC 3568」です。
NASAの説明では、超新星や彗星のような稀な天体現象は、プロの天文学者より、熱心なアマチュア天文学者が発見することが多いといいます。
では、せっかくなのでこの笑う銀河の詳細についても解説していきましょう。
NGC 3568は地球から見ると銀河面が横向きになっています。そのため渦巻の腕を横に広げている状態になっています。
この銀河は棒渦巻銀河と呼ばれる種類の銀河で、中心部分が棒状になっており、そこから少し離れた外側を星が渦巻状に取り巻いています。
下の画像は、同種の渦巻銀河NGC 1300を撮影したものです。この銀河は地球から上側を観測できるため、その構造がよりはっきりわかります。
すべての銀河の約60%は渦巻銀河に分類されますが、そのうちの約3分の2は棒渦巻銀河です。
私たちの属する天の川銀河も、実は棒渦巻銀河に分類されます。
この棒渦巻銀河は2008年に行われた2000を超える渦巻銀河の研究から、70億光年より遠い宇宙には非常に少ないことが明らかになっています。
これは棒渦巻銀河が、銀河のかなり後期の段階で形成される形状のためです。
70億光年より前の銀河は、基本的に楕円銀河に分類されていて、この銀河には渦巻構造がまだありません。
楕円銀河は星形成の活発な領域がなく、年老いた古い星が多い銀河で、全体的に赤く見える場合が多いと言われます。
渦巻銀河は、こうした星の塊が銀河の中心から少しずつ円形にずれていくことで徐々に形成されるのです。
2021年の末には、ハッブル宇宙望遠鏡の後継となるジェームズウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げに成功しています。
この望遠鏡は、こうした天体をさらに詳細に見せてくれるだろうと、NASAは伝えています。
どんな天体画像が見られるのか、今から楽しみですね。