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Credit: Kenji Suetsugu et al., Frontiers in Ecology and the Environment(2021)
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ニホンリスは毒キノコ「ベニテングダケ」を普通に食べられる (2/2)

2022.01.07 12:00:56 Friday

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ニホンリスはベニテングダケを普通に食べられた!

2021年に、神戸大学大学院理学研究科の末次健司(すえつぐ・けんじ)准教授と、在野の写真家である五味孝一(ごみ・こういち)氏により、キノコを日常的に食べるニホンリスの生態が観察されました。

驚くべきことに、ニホンリスはベニテングタケのみならず、テングタケなど、他種の毒キノコも普通に食べていました。

同じ個体が数日間にわたりテングタケ属を食べ続けていたことから、ニホンリスは安全に毒キノコを摂取できることが示されています。

テングタケを食べるニホンリス(撮影:五味孝一さん)
テングタケを食べるニホンリス(撮影:五味孝一さん) / Credit: Kenji Suetsugu et al., Frontiers in Ecology and the Environment(2021)

毒キノコは、動物たちに食べられるのを防ぐために毒を進化させたと考えられているため、今回の発見はとても興味深い現象です。

一方で、毒キノコが食べられたとしても、胞子が繁殖可能な状態で排泄されるのであれば、リスの移動に伴って、自らも生息域を広げることができます。

また、リスの方は毒キノコを食べられるような適応を遂げることで、食料資源をめぐる競争をまぬがれている可能性があります。

このように、ニホンリスと毒キノコの間には、相互扶助的な契約がなされているのかもしれません。

コガネテングタケを食べるニホンリス(撮影:五味孝一さん)
コガネテングタケを食べるニホンリス(撮影:五味孝一さん) / Credit: Kenji Suetsugu et al., Frontiers in Ecology and the Environment(2021)

しかし、現時点では解明すべき謎が山積みです。

なぜリスは安全に毒キノコを食べられるのか?

リスは毒キノコの胞子散布にどのような役割を果たしているのか?

毒キノコはリスに食べられることで、本当に分布域を広げられるのか?

今後はリスが胞子の運び手となっているかを確かめるべく、フンの中に繁殖可能な胞子が存在するかを調べていく予定です。

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ニホンリスは毒キノコ「ベニテングダケ」を普通に食べられる (2/2)のコメント

ゲスト

リスさん強すぎ…。

ゲスト

代謝って不思議ですね
食べた毒を蓄積して自らも有毒になる生物も多いけど、リスは食べても大丈夫なのかな?

    ゲスト

    それ気になります。もしフグみたいに毒リス化してるなら、生存戦略として積極的に食べてそうです。でもそれだと狩猟界隈で何かしら噂になってそうですから、肉や臓器には蓄積しないのかも。

ゲスト

確かに、普段から毒キノコを食べているリスは安全に食べれるのか気になりますね。
そもそも蓄積していくほどそういったキノコを食べるチャンスがあるのかないのかとか
内蔵だけ取り除けば問題ないのか、とても興味深い話ですね。

ゲスト

ベニテングダケの解毒薬はまだなかったはず?
リスの解毒の仕組みがわかれば解毒薬が作れるかもしれないですね

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