奇妙なカニの化石
2019年に登録された新種の古生物「Callichimaera perplexa(カリキマエラ・ペルプレクサ)」には奇妙な特徴がいろいろとあります。
それは、オールのような平べったい脚をもち、曲がった爪と大きな複眼、脚のような口腔部、長い体を持ち一般的に認識されるカニとはだいぶ異なった姿をしています。
名付けられた学名の「Callichimaera perplexa」には複雑で美しいキメラという意味があります。
(属名「Callichimaera」が美しいキメラを意味し、「美しい」とは化石の良好な保存状態、「キメラ」は複数の分類群をあわせたような奇妙な姿のことを指します。
種小名「perplexa」はラテン語で混乱を意味し、系統的な位置づけが難解なことを示す)
学名にも記録されているように、このカニは化石の状態が非常に良好でした。
そのため白亜紀の標本としては、通常保存されないような非常に繊細な目の組織が、分析可能なレベルで残っていたのです。
今回の研究の筆頭著者であるイェール大学のケルシー・ジェンキンス(Kelsey Jenkins)氏は、「このような優れた光学組織が含まれた、優れた保存状態は稀です」と語ります。
そこで彼女は、現存する15種のカニ1000匹と、さまざまな発生段階を含んだ今回の化石を分析をすることにしたのです。
この研究では、カニの目の大きさと成長速度の比較が行われました。
その結果、非常に興味深い古代のカニの生態がわかってきたのです。