キツネの視覚には北方向限定で「ターゲットハッド」が存在する
なぜキツネのジャンプ狩りは北向きだと成功しやすくなるのか?
研究チームは論文において、「キツネの網膜に磁気の感知能力がある可能性が高い」と述べています。
これまでの研究において、渡り鳥などの動物の網膜には磁気を感知するタンパク質(クリプトクロム)が存在することが報告されています。
また、人間においてもMRIなどで強い磁気を受けると網膜の神経に電流が走り、目に閃光を感じることが報告されるなど、網膜と磁気は深いかかわりがあります。
そこでチームは、キツネの網膜にも磁気を感じる能力がある場合、上の図のように、北方向の斜め下側(約20度下)に明るい光、もしくは暗い影などによって形成される、ある種のターゲットハッドが存在すると考えました。
やや斜め下になっているのは、北半球では真の北はコンパスの示す北に向くだけでなく、20度ほど斜め下側となっているからです。
またこのとき、ターゲットハッドの中心点となる部分はジャンプ狩りの到達地点と一致すると考えられます。
ジャンプ狩りにおいてキツネは、おおむね一定の距離を同じように跳躍することが知られており、ターゲットハッドの中心点(到達予想地点)と耳が感知した獲物の音源が重なると「ロックオン」状態に移行して、攻撃(ジャンプ狩り)が行われると結論しました。