突如として大きな波が発生する「巨大波」とは
「大きな波」と聞くと、多くの人は「津波」を思い起こすかもしれません。
これは海底の地殻変動などの衝撃で生じる波のことであり、その影響として、大量の海水が陸地に押し寄せます。
2011年の東日本大震災では、福島県や岩手県を高さ8~9mの津波が襲いました。
しかし今回報告されている「巨大波」は、こうした津波とはまるで種類が異なります。
巨大波とは、海洋で発生する波のうち、周辺の波よりも特に大きい特殊なものを指すのです。
例えば、高さ1mの波の中に1つだけ3mの波がある場合、この突出した波を巨大波と呼びます。
そして巨大波の脅威は、「周辺の波高との大きな差」と「出現予測が困難」な点にあります。
比較的穏やかな海を進んでいる船が、突如としてあらわれた巨大波によって被害を受けてしまうこともあるのです。
ちなみにこの巨大波、かつては海洋伝説の1つとして扱われており、その信ぴょう性は疑われていました。
ところが1995年、ノルウェー沖で初めて本物の巨大波を観測。
それ以来、科学者たちは巨大波の原因や頻度について研究を続けているのです。
現在、「世界の海のどこかで2日に1回のペースで巨大波が形成されている」と推定する研究者もいるようです。
そして2020年、これまでに観測されたことのない規模の巨大波が検出されました。