日本人赤ちゃんに対する「かわいさ」判断は、多くの人で一致する
まず研究チームは、生後6カ月の日本人の赤ちゃん80名の写真を集め、それを200名の日本人男女(20~69歳)に、7段階(全くかわいくない~非常にかわいい)でかわいさを評価してもらいました。
これらの評価を分析することで、日本人的な「かわいい顔」と「かわいくない顔」の特徴が判明。
この特徴は、ベビースキーマの特徴(白人を対象とした研究結果)と一致していました。
つまり赤ちゃんに対する「かわいい」という認識は、日本人と白人で違いはなかったのです。
さらに研究チームは、それぞれの特徴にもとづいて、赤ちゃんの顔写真のパーツを加工。
かわいさを増やした合成写真と減らした合成写真を作成しました。
そして2つの写真を587名の日本人男女(20~69歳)に見せ、どちらがよりかわいいと感じるか選んでもらいました。
その結果、9割の人が、かわいさを増した顔を選択。
つまり、赤ちゃんの顔における「かわいさ」には、個人の好みとは別に、客観的な特徴(共通認識)が含まれると分かります。
ちなみに、若い男性は「よりかわいい顔」の選択を間違う傾向にあり、「かわいさ」の高低を認識するのが苦手であることも判明しました。
さて、私たち人間が「主観的なかわいい」と「人種を越えた客観的なかわいい」の両方をもっていることは生物学的に興味深いことだと言えます。
私たちは、特定の相手だけを「世界で一番かわいい」と思えるだけでなく、生まれてくるすべての赤ちゃんを愛し、守りたいとも思うのです。
今回の日本人の赤ちゃんにおける研究結果は、今後のさまざまな「かわいい」の研究に活用されるでしょう。