産地ごとのオパールの特徴
オパールは世界中、さまざまな場所で産出します。
日本でも産出した記録が残っており、特に美しいプレシャスオパールを産出したところとしては福島県の宝坂が有名です。
ここでは、市場に出回ることが多い有名な3つの産地のオパールを比較していきます。
オーストラリア
ケイ素が長い年月をかけて堆積して形成されるのが、堆積性のオパールです。
堆積性のオパールは世界的に見て珍しい鉱物ですが、このオパールの産地としてもっとも有名なのがオーストラリアです。
堆積性のものは形成の過程で水分が抜けるため、水分量が他の産地のオパールに比べて少なくなっています。
そのため乾燥に弱いオパールの中でも、比較的乾燥に強く、丈夫という特徴を持ちます。
地色がはっきりしているものが多く、青、黒、白など色のバリエーションも豊かです。
遊色効果も他の産地と比べてはっきりしているのが特徴で、まるでホログラムシートを含ませたようなキラキラとした綺麗な輝きを見ることができます。
そのためアクセサリーにしても映えやすいです。
母岩とオパール部分のコントラストの美しいボルダーオパールも多く産出します。
クーバーペディ、クィーンズランド、ライトニングリッジなど、名産地として知られている地区が多いのもオーストラリアです。
特にライトニングリッジは、上質なブラックオパールを産出したことで一躍有名となりました。
堆積性という特徴から、恐竜や貝などの化石が長い年月を経てオパールに置き換わったものも多く産出しています。
2003年には、イカの先祖の化石がオパールに置き換わってできた美しいオパール「ヴァージン・レインボー」が産出し、世界中の注目を集めました。
メキシコ
火山で温められた熱水中に含まれるケイ素が沈殿して形成されるのが、火山性のオパールです。
世界中で産出するオパールの多くは、この火山性のオパールに属しますが、中でも有名な産地がメキシコです。
火山性のオパールに特有の高い透明度、鮮烈な遊色効果が特徴です。
透明な石の内部で炎のようなギラギラとした遊色効果がきらめく様子は、まさに「太陽の国・メキシコ」出身であることにふさわしい、力強さを感じさせます。
地色は無色透明から黄、オレンジ、赤など暖色系が多い傾向にあります。
黄色みのない、無色透明の地色に遊色効果がきらめく、朝露を押し固めたかのようなオパールは「ウォーターオパール」や「クリスタルオパール」などと呼ばれます。
遊色効果が出ないものでも、鮮やかなオレンジや赤を呈するものは「ファイアーオパール」と呼ばれ、他のコモンオパールより高く評価される場合があります。
ファイアーオパールには遊色効果があるものも含まれるため、赤やオレンジの地色が美しいメキシコ産オパールをまとめて「ファイアーオパール」としている、と考えた方が正しいでしょう。
また、母岩ごとカットして作られたカンテラオパールは、浅瀬の海岸を覗き込んだような神秘性に満ちています。
オパールは通常、正面からの光で輝くものが多いのですが、中には背後から光を当てることで遊色効果が浮かび上がるものがあり、それらは「コントラルスオパール」と呼ばれます。
エチオピア
メキシコ産オパールと同じく、火山性のオパールですが、また違った美しさを持つのがエチオピア産オパールです。
主な産出地であるウェロ地区の名を取った「ウェロオパール」、口に含むとガムのようにくっつくことから「ガムオパール」と呼ばれることもあります。
中程度から高程度の透明感に、強い遊色効果が特徴です。
遊色効果の強さは、ギラギラと輝くメキシコ産に比べるとやや優しい印象を受けます。
しかし、石の内部で花火のようにきらめく遊色は、他の産地に勝るとも劣らない美しさを持っています。
メキシコ産と同じく、コントラルスオパールも存在します。
流通量が多く、当初は安価に美しいオパールが手に入る産地として人気を博していたのですが、2013年にエチオピア政府が原石状態でのオパールの輸出を禁止したため、今後の動向が注目されています。
エチオピア産オパールの中には、水に漬けると透明度が変化する「ハイドロフェン効果」を持つものも存在します。
その不思議な特徴から「マジックオパール」や「カメレオンオパール」とも呼ばれます。