オパールとは
オパールとは、ケイ酸と水分で構成された石です。
石の約10%ほどに水分が含まれているという、珍しい特徴があります。
成分としては、お菓子の乾燥剤などに使われるシリカゲルと同じです。
結晶構造を持たないため、鉱物ではなく「準鉱物」に区分されています。
オパールと同じ準鉱物としては、琥珀、黒曜石、真珠などが挙げられます。
しかし、IMA(国際鉱物学連合)ではオパールは鉱物に区分されています。
オパールは団体によって指定区分の変わる、珍しい石なのです。
日本では10月の誕生石に指定されており、多くの方に愛されています。
鉱物としてのオパール
鉱物名 | オパール(opal) |
化学式 | SiO2・nH2O |
結晶系 | 非晶質 |
へき開 | なし |
モース硬度 | 6.5 |
光沢 | ガラス光沢 |
条痕 | 白 |
オパールの名前の由来
オパールの名前の由来は、ギリシャ語で「色の変化を見る」という意味の「オパリオス(opalios)」そして、これが転じたラテン語の「オパルス(opalus)」です。
さまざまな色彩を見せるオパールにぴったりの名前ですね。
また、中世ヨーロッパでは「目の石」を意味する「オフタルミオス(ophthalmios)」とも呼ばれていました。
オパールの歴史
オパールと人間との歴史は古く、古代ローマの時代まで遡ります。
古代ローマの博物学者プリニウスは、地理学、天文学、鉱物学などについて記述した著作『博物誌』にてオパールを取り上げています。
プリニウスは「紅玉の火、紫水晶の紫の閃光、スマラグドゥス(エメラルド)の海の緑を見せ、それらが渾然と一体になって信じ得ないような光彩を放っている」とオパールの輝きを絶賛しています。
また、この頃からすでに偽物のオパールも出回っていたのか、プリニウスはオパールを光に透かして見ることで本物かどうかを判別するという鑑定方法も述べています。
ただし、プリニウスが述べた産地からオパールが産出した記録はなかったため、今では「別の宝石だったのではないか」という説が有力となっています。
プリニウスがオパールを絶賛した一方で、そのあまりにも特徴的な虹色の光のせいか、19世紀にはオパールを不吉なものとして扱う時期もありました。
アメリカの鉱物学者クンツは、サー・ウォルター・スコットの小説『ガイアスタインのアン』に登場するオパールが見せる奇妙な特徴から、読者が誤って悪いイメージを膨らませてしまったのではないか、と考察しています。
現代ではそのような迷信もすたれ、オパールは美しい輝きを人々に見せています。