宇宙での性行為を研究すべき時期にきているとする論文が発表
人類がはじめて宇宙飛行を行ってから60年以上が経過し、宇宙飛行の経験者は600人に迫っています。
また宇宙での滞在期間も、数か月から数年に渡る長期に及ぶようになりました。
そのため先進各国は、宇宙食だけでなく宇宙トイレや宇宙シャワーなど、人間の基本的な健康維持に不可欠なシステムの構築に、膨大な予算をつぎ込んできました。
しかしどの国の宇宙機関でも、宇宙での性行為を実現するための研究はまともに行われていませんでした。
そこで今回、コンコルディア大学の研究者たちは主要な宇宙機関に向けて、宇宙での性行為がどれだけ必要かを説く提言を作成し、論文として発表しました。
論文において研究者たちは「性行為は人間にとって不可欠な要素」であり、禁欲的な宇宙生活は宇宙飛行士たちの「健康と幸福を損なう」だけでなく「人間関係を破壊し性暴力を誘発する」と述べています。
確かに、長期に渡る宇宙生活において性欲は重要な問題です。
ただ、これまで宇宙飛行を経験した人間は600人近くいますが、性暴力は報告されていません。
またNASAもこれまで宇宙で性行為をした人間は記録上存在しないと述べています。
これには、宇宙飛行士の多くが既に結婚しているという事情もあるでしょう。
しかし何よりも重要なのは、宇宙で性行為を行った場合、何が起こるかわからないという点があげられます。
性行為にともなう動きは地球上ではベッドや床が支えてくれます。
しかし宇宙ではそのような支えは存在せず、作用と反作用(出し入れ)を人体が直接的に受け止めることになります。
また性行為の結果放出される種々の体液や揮発性分子が機材に与える影響も未知数です。
さらに地球上では放出された体液は重力によって落下していきますが、無重力空間では体内に発射された精液などの体液は、能動的に洗い流さない限りいつまでも残留してしまいます。
なにより、避妊が失敗して妊娠し、さらに帰還が遅延して宇宙で出産することになった場合、対応する手段が存在しません。
これら性行為にともなうリスクは現在、宇宙飛行士たちの理性に全てゆだねられています。
しかし研究者たちは、現在はそれでよくても「今後」は違うと述べています。
今後宇宙開発が進み、月面基地や有人火星探査が行われ、宇宙滞在期間が10年を超えるような場合、禁欲を前提とした宇宙ミッションはかなりの確率で危機にさらされるからです。
そのときになって研究からはじめていては、手遅れになります。
そのため研究者たちは、今からでも宇宙での性行為に関する基礎研究を行う必要があり、現段階でも宇宙での性行為を許可すべきだと結論しています。
実際NASA内部でも、こうした研究プロジェクトの提言は行われているようで、その必要性は認められています。
人類が宇宙に進出し、違う星でも繫栄するには、宇宙での性行為研究は避けられない道となります。
その研究を今すぐはじめるべきかはわかりませんが、少なくとも100年後には必須な技術になっているのは間違いないでしょう。