「800年前のアダム修道士」のハンコと判明!
ジョージくんが地中約15センチから掘り当てたのは、13世紀はじめの中世の印章です。
銅合金でできており、形は楕円形で、中央には聖母子像が彫られています。
外縁に刻まれたラテン語から、「バトリー修道院のアダム律修司祭の印章」という文言が解読されました。
バトリー修道院は、1171年にウッドブリッジの近くに設立された修道院で、1219〜1235年にかけて、アダムという人物が修道院長を務めたことがわかっています。
律修司祭とは、カトリック教会における聖職者の位で、修道院の運営面で責任を負う司祭職を指します。
このことから、この印章は、アダムという修道士が約800年前に使っていたものと断定されています。
ロンドンの考古学ボランティア団体・PAS(Portable Antiquities Scheme)によると、当時は聖母マリアへの信仰が厚かったため、遺物のデザインに聖母子像がよく用いられたという。
また印章は、公私の文書の封をするために、蝋(ろう)の上に押して使われたと見られます。
今回見つかった印章は、その希少性と歴史的重要性から、3月24日に開催されたオークションハウス「ハンソンズ」に出品され、なんと4000ポンド(約64万円)で落札されました。
収益は、発見したジョージくんと父親のポールさん、それから発掘地の所有者で分け合うとのことです。
金属探知歴20年の父親も驚き
ポールさんは、息子の大発見について、「私が過去20年の金属探知で見つけた、どんなものより優れていた」と話します。
「ジョージは5歳の頃から金属探知をしていますが、いつも何かが見つかるわけではありません。ここ数年では、1つか2つの遺物を見つけた程度でした。
今回の印章を掘り当てたとき、彼はそれが何であるかわかっていませんでしたし、私自身、それがどんなに珍しく、価値があるかを理解していませんでした」
ジョージくんも当初は、自分の発見にあまり驚いていなかったそうですが、日が経って「印章を見てみたい」という人が続出するにつれ、だんだんエキサイトしてきたという。
ジョージくんは「発見できてうれしいよ」と話しています。
「お宝の発見は、私より息子の方が得意なようです」と、ポールさんは続けます。
「手ぶらで帰ってきたことも何度もありますが、そういう時はいつも”諦めずに続けなさい “と言っているんです。
今回はついにそれが報われました」
また、有名な金属探知家であり、オークションハウス「ハンソンズ」の鑑定士であるアダム・ステイプルズ(Adam Staples)氏は、このようにジョージくんを賞賛しています。
「わずか10歳でこのようなものを発見するとは、驚異的です。
ジョージはミダスタッチ(Midas touch)を持っているに違いありません!これをきっかけに、もっと金属探知を続けて、過去の歴史を発掘してほしい」
ミダスタッチとは、ギリシャ神話に登場するミダス王が触るものすべて金に変えてしまうことから派生し、「金運の良さ」とか「金もうけの才」を意味します。
たった10分で60万円を超えるお宝を見つけるなんて、何とも夢のある話です。
新しい趣味を始めたいと考えている人は、金属探知がいいかもしれませんね。