父親は70歳、母親は21歳の年の差コンビ
2匹が誕生したのは、イングランド南東部・オックスフォードシャーにある動物園「クロコダイルズ・オブ・ザ・ワールド(Crocodiles of the World)」です。
同園には2匹の親となるダーク(Dirk)とチャーリー(Charlie)のほか、ズズ(Zuzu)とイザベラ(Isabella)という2匹のメスが飼育されています。
4匹は2018年に、同園へと運ばれてきましたが、まだ繁殖には一度も成功していませんでした。
ダークは、1960年代に初めてイギリスにやってきた70歳のオスで、体重は165キロ。その年齢にもかかわらず「オスとして万全の体調を維持している」といいます。
飼育員は、年のわりに元気なダークに期待しており、ついに2021年11月、21歳の若いチャーリーとの交配、および産卵に成功しました。
爬虫類部門のリーダーであるジェイミー・ギルクス(Jamie Gilks)氏は「ガラパゴスゾウガメの繁殖に成功したことは、私個人だけでなく、すべての飼育員にとって、本当に大きな意味を持つ」と指摘。
また「ふ卵器を開けて、殻のひび割れをのぞいてみたり、その中で動く赤ちゃんを見たりした経験は、言葉で言い表せないほど感動的で、私たちの心に長く残る瞬間となりました」と続けています。
そして先日、2匹の赤ちゃんが無事卵からかえっています。
体重はそれぞれ67gと69gで、サイズ重さともに「キウイフルーツと同じくらい」とのこと。
名前はまだ未定ですが、飼育員は、乾燥した草やオプンティア(サボテンの一種)、雑草、葉物野菜などを与えながら、片時も離れず、注意深く見守っています。
同園の創設者であるショーン・フォゲット(Shaun Foggett)氏は、今回の偉業について、「2018年に彼らが仲間入りして以来、私たちはずっと、この日を待ち望んでいた」と言います。
「乱獲や外来種による卵の捕食などが原因で、彼らは今も不確かな未来に直面していますが、繁殖に成功したことは、ガラパゴスゾウガメの保護支援に向けた大きな成果です」と述べました。
種の存続を救う「新たな希望」となるか?
ガラパゴスゾウガメは、ナンベイリクガメ属に分類される種のうち、南米エクアドル沖のガラパゴス諸島にいる複数種をまとめて指します。
およそ2〜300万年前に南米大陸からガラパゴス諸島に上陸し、その後、少なくとも14種に分岐しました。
現存するカメの中で世界最大とされ、最大甲長135センチ、体重400キロ、平均寿命は100歳を超えます。
その一方、19世紀に約20万匹いた世界のガラパゴスゾウガメは、現在、約1万5000匹に激減しており、常に絶滅が危惧されています。
そのため、今回生まれた2匹の赤ちゃんは、種の存続を救う”新たな希望”となるでしょう。