記録上最古のオーロラを発見!
今回の『竹書紀年』の調査は、名古屋大学の早川尚志(はやかわ・ひさし)氏と、ペンシルバニア大学考古学・人類学博物館(Penn Museum)のマリヌス・アンソニー・ファン・デル・スルイユス(Marinus Anthony van der Sluijs)氏によって行われました。
両氏によると、『竹書紀年』のあるページに、「周王朝(紀元前1046〜紀元前256)の昭王(在位:紀元前995〜977)の治世の終わり頃、北側の夜空に”5色の光”が輝いた」という旨の記述が見つかったという。
記述の詳細な分析の結果、観測地は周の都・鎬京(こうけい、北緯34度14分・東経108度46分)の上空で、年代は紀元前977年か957年のいずれかと見られます。
これは、過去に報告されたオーロラ観測に関する最古の記録となります。
これまでは、アッシリア(今日のイラク北部)の天文学者が楔形石板に刻んだ、紀元前679〜655年の間のオーロラ記録が最古のものでした。
今回の記述は、それを300年ほど遡ることになります。
古代のオーロラ記録は他にもあり、新バビロニア国王・ネブカドネザル2世の天文日記に記された、紀元前567年の記述も有名です。
『竹書紀年』のオーロラ記録の発見にこれほど時間がかかった要因について、両氏は「原本が紛失と再発見を繰り返した」ことをあげています。
『竹書紀年』は、漢代(紀元前206〜紀元後220)に一度散逸し、3世紀後半に再び発見されたのち、北宋(960〜1127)の時代に再び失われました。
そして清王朝(1616〜1912)で再び収集され始め、原本の復元は今でも続いています。
また、「古代のオーロラの物理的な正体と年代に関する解釈に一致が見られないため、あまり科学的な関心を集めてこなかった」とも指摘します。
しかし最も気になるのは、オーロラが発生した「場所」です。