海洋性細菌の「代謝」を利用した発光照明
Gloweeの開発した生物発光照明の光は、フランス沖で採取された海洋性細菌「アリイビブリオ・フィシェリ(Aliivibrio fischeri)」によるものです。
A. フィシェリは、「代謝」による生化学的プロセスによって発光し、ターコイズブルーの柔らかく幻想的な光を放ちます。
これを照明用チューブにパッケージングする前に、海水水槽で培養し、適度な量のA. フィシェリで満たされた液体原料を作ります。
チューブに入れた後は、基本的な栄養素と空気を送り込んで、循環させながら酸素を供給し、代謝によって発光させます。
そのため、彼らが消費する栄養素を作る以外には、ほとんどエネルギーが必要ありません。
そして、「灯を消す」には、空気の供給を遮断し、A. フィシェリを嫌気(酸素のない)状態におくことで、発光しなくなります。
この製造工程は、LED照明の製造よりも水の消費量やCO2排出量が少なく済み、液体も生分解性となっています。
また、通常の街灯のように電力網に接続する必要がなく、消費電力も大幅に削減可能です。
Glowee創業者のサンドラ・レイ(Sandra Rey)氏は「私たちの目標は、都市の光の使い方を変えることです」と説明。
「微生物が作り出す発光は、私たちの生活を照らし出す、エネルギー効率の良い持続可能な方法となります。
市民や環境、生物多様性をより尊重した環境を作り、従来の電灯に取って代わる真の代替案として、この新しい光の哲学を広めたいのです」
1879年に最初の電球が開発されて以来、現在にいたるまで照明の作り方はほとんど変わっていない、とレイ氏は主張します。
1960年代に登場したLED電球は、照明のランニングコスト(維持管理費)を大幅に削減しましたが、化石燃料を燃やして作る電気に頼っていることに変わりありません。
その中で、生物発光は、環境に優しい次世代の照明器具となるでしょう。
しかし一方で、生物発光照明を普及させるには、解決すべき問題があります。