微小管で量子効果が観測された
私たちの細胞内でも量子効果が起こりえるのか?
答えを探るために研究者たちは、微小管と呼ばれる極めて細いチューブ状の構造に青い光をあてて量子効果が現れるかを観察することにしました。
微小管は「細胞の骨格」として細胞の運動や構造維持を受け待つほか、細胞内に敷設された「レール」や「けん引ロープ」として物質輸送に関与し、細胞の各地に回路のように張り巡らされています。
高校で生物学を学んだ人のなかには、細胞分裂時に染色体が微小管によって左右に引っ張られている図を記憶している人もいるでしょう。
この微小管は、実は、量子効果が発生する場所として優れた構造をしてることが知られており、量子意識仮説の証明に最も適していると考えられていました。
(※微小管の構成単位であるタンパク質には比較的自由な電子が存在する場所や電気的な影響を受けにくい領域がナノメートルの幅で設置されており、この特性と距離は電子に量子効果を起こすのに十分と考えられています)
そのため研究者たちはこの微小管に対して、青色の光を当てて量子効果が起こるかを確かめることにしました。
結果、照射された光が微小管にとらえられ、その半分が数百ミリ秒から1秒以上が経過した段階で放出される「遅延発光」が観察されることを発見しました。
遅延発光は量子効果の結果として生じることが知られています。
また数百ミリから1秒という範囲は、意識が発生するタイムスケールと一致します。
これまで微小管で量子効果が起きたとしても非常に短時間に終わるため、意識が芽生えるほどのタイムスケールには達しないと考えられていましたが、実験では微小管で起こる量子効果が意識形成につながる可能性が示されました。
しかしより興味深い結果は「意識」を奪う麻酔薬を使ったときに現れました。